25年自宅の薔薇
4月の23日から6月15日までの薔薇を記録していました。約2か月近い初夏のばらの季節でしたが、薔薇が咲き始めるとオープンガーデンや薔薇友宅の訪問で多忙になります。
薔薇の開花前は気温も低く日照も強くないため水やりは薔薇や草花の土壌の乾き具合を見て行うだけで、毎日決まった時間に行うことはしませんが、開花が始まる頃から気温も上昇し、太陽の光も俄然強くなり定期的な水やりは必須になります。
また開花を始めると猛烈な花柄積みの作業が始まります。また気温の上昇に伴い雑草も逞しく成長を始めるし、アブラムシの活動や眼に見えないカミキリムシの幼虫やコガネムシの幼虫などが地下で活発に活動し始めていることは容易に想像ができます。
また前年新たに植えた新苗や大苗の薔薇が成長し始め支柱によるサポートを強化したり、日照の良い場所に移動したりします。
また庭は薔薇だけでなく秋から植えたビオラやガーデンシクラメンなど冬の花の寄せ植えを夏パターンへの植え替え、冬に咲いたクリスマスローズを夏の置き場所へ移動、また花芽を持ったアジサイを、日当たりの目立つ位置に移動とか、様々作業が重なります。

このようなこの季節のガーデニングのルーチン作業は、午前中いっぱい毎日欠かさず行いますが、以前のように午後にかかることはめったに行いません。このようなガーデニングのルーチン作業の間に、週1,2回は家内と定期的に車で買い物に行く日もありますが、細かな買い物は家内は散歩がてら徒歩で行くため、負担はありません。
私の山仲間の友人たちは庭のある家に住んでいますが自身ガーデニングを行っていないため、普段は何をやっているのか?と質問を受けることがあり、午前中は毎日庭で作業していると答えると不思議な顔をしてそれ以上聞かれることはありません。恐らく毎日午前中いっぱいかける作業がどのようなものか想像が付かないのでしょう。

この時期、薔薇仲間やオープンガーデンの庭を訪問した際、直ぐ眼が行ってしまうのは、ルーチン作業の痕跡です。
薔薇栽培を始めた頃、虫害、病害、根腐れなど夏季が薔薇栽培の一番の難敵だということを知り、我が国の気候の特殊性を調べるために、薔薇栽培の先進地の英国とフランスの首都の夏季の気候を調べた事があります。その結果6,7,8月の気候の比較で、東京は雨量でロンドン、パリの3倍、気温では10度高いことが分かりました。
薔薇はユーラシア大陸西部の乾燥地帯が原産地であり、草花では地中海沿岸産、南アフリカ高地を原産とするものが多く、いずれも我が国の夏はアジアモンスーン地帯でも夏は熱帯以上に高温多湿になります。鎌倉末期吉田兼好が「徒然草」で「住まいは夏を旨とすべし」と言ったことは、冬の寒さより夏の暑さの方が耐えがたいことを意味します。事実開口部の多い風を通す構造の日本家屋は、北陸や越後、秋田、津軽の豪雪地帯でも同じ構造で建てられ、海峡を渡った松前でも同じでした。
いつも触れるように高温多湿で草や樹々の成長が早い我が国で、主食に水田耕作を選択したことは賢明でした。明治時代夏になると日本中の英国人が軽井沢に逃げてしまう過酷な夏の気候の元、大陸の乾燥地帯が原産の薔薇や、夏雨の少ない地中海沿岸産のハーブ、そして雨量が多くない南米や南アフリカ高地産の草花を駆使して規模の多いガーデニングを行うことは、毎日その手入れに午前中いっぱいを要することは何の不思議でもないのです。
4月23日から5月2日
我が家では毎年木香バラとオールド・ブラッシュの開花からシーズンが始まります。

年末にはかなり短く剪定しました。この鮮やかな黄色の花が薔薇の季節の訪れを告げてくれますが、実際は理由は解らずなぜか気持ちが焦るのです。

木香と共にもう30数年一番に薔薇の季節の到来を告げてくれるのです。今年はクレマチスを古典的な行燈仕立てにしてみました。


ジャックリーヌ・デュ・プレとジームズ・オースチンも咲き始めました。

長い間親しんで来たフランシス・デュ・プルイユが枯れてしまってから3年経ち、新たな苗を手に入れ咲きました
この薔薇は私と家内が気に入っている香りの薔薇の一つです。数輪蕾を付けたのでこの花を除いて、切り取り食卓で香りを楽しみました。
5月2日~9日 大型に仕立てた薔薇も咲き出しました。

我が家で最も古い薔薇の一つ。エイブラハム・ダービーです。植えて3年目からそれぞれ300輪、600輪の花が咲き、ザ・ピルグリムと共に私に薔薇栽培の自信を与えてくれた記念すべきイングリッシュローズです。

グレハム・トーマスは薔薇を初めて欠かせたことはありません。この薔薇は3代目でしょうか。
バカチョン薔薇の一つパレードです。今さらと想いつつ歳を取って簡単な薔薇も欲しいので3年前に初めて植えましたが、植えて良かったと想いました。クライマーの名品種ニュードンの子バラですが、さすがです。ちなみに親バラのニュードンは既存品種の枝代わりでなく突然生まれた四季咲き性の純粋クライマーで「初めての夜明け」と名付けられた歴史的品種です。

イングリッシュローズのルデュテです。とっくの昔に廃番となったイングリッシュローズで私が薔薇を始めた当時の1本です。ルドュテは確かメアリーローズの子供も薔薇で強健性は眼を見張るようです。ロザリアンにとって聖人というべきジョセフィーヌのお抱え画家「ルデュテ」の名を冠した薔薇はオールドローズとこのイングリッシュローズの2種ありますが、なぜ早期に廃番になった分かりません。
5月10日~14日 パーゴラのランブラーが次々と咲き、薔薇シーズンの期待が高まる時期です。

小型パーゴラに這わしたハイブリツド・ムスクのプロスペリティが満開を迎えました。この時期は同時に咲くため薔薇の重層的な光景を味わうことができます。

パーゴラの天上にはランブラーヴィォレットと北本の松崎さんから頂いたフェアリーの変種のランブラーが天井を覆います。フェアリーは大好きな薔薇でこのシュラブ系は薔薇栽培当初から身近にあります。

コルデスのシュラブローズ、クリスチアーナが伸びてプロスペリティと一体になりました。

クリスティアーナの花は極めて美しくアレンジを作る際、家内は大喜びです。
5月15日~5月末 メインの薔薇はこの時期に一斉に満開になります。

前庭の光景です。巨大鉢に植えたイングリッシュローズのウイーズレー2008が壁一面に花をつけます。アーチのアルキミストもアプリコットの美しさで競演に参加します。

マルガリータやケント、シャリファ・アスマ、コンスタンス・スプレイのイングリッシュローズたちも競演に参加します。

昔、バークチップを敷いて紫紋葉菌が発生し木や薔薇を何本か枯らしました。薬剤で懸命に駆除しましたが、完全駆除は出来ず、ドロシーを除いて薔薇は全て大型のコンテナ植えです。それぞれ密集しているので手入れは大変です。紫のカーデイナル・リシリューが顔を見せています。

アーチの片側はドロシーとクレマチス・ダイアナに占領されました。手前にはコンスタンス・スプレイがせりあがっていますが、見栄えが冴えないため写真は撮っていません。

薔薇の手入れの際は四季を通じて何本か手入れ専用ズボンをはいて作業を行っています。それらは登山で役目を終えたモンベルを充てています。なぜ専用かというと脛にバラの棘を引っかけてしまうためで、それらには引っかけ跡が無数残っています。でも登山ズボンですからストレッチが効いており朝露に濡れても不快にならないので、愛用しています。
専用ズボンですからこのような密集地帯に足を踏み入れることができるのです。

フェアリーの変種のランブラーは優秀です。ヒマラヤンムスクのように無駄な枝を伸ばさずトゲもそれほど脅威でないため手入れは楽です。

ランブラーのヴィォレットやウイズリー2008とも相性が良いです。


今年最も貢献してくれたのはこのブルボンローズのスベニール・ラ・マルメゾンと下のマイディアでした。マルメゾンも約1か月の間次から次へと咲き続けました。それは昨年の比ではありませんでした。
私の肥料が効いたのかな?と想います。


マイディアはコマツの薔薇で昨年から威力を見せ始め、今年は1番、2番花と連続に約1ヶ月間咲き続けました。

メインの庭はランブラーなど小花が中心のため、前庭ほど写真写りは良くありません。左は大好きなロープ・アランセーズです。

空間を覆うヒマラヤン・ムスクとアルベル・ティ-ンです。2階のベランダからの光景は好きです。

パレードとローブリッターです。ローブリッターも3代目でしょうか、薔薇栽培の初期から身近においています。もうこのような小カップの薔薇は作られることは無いでしょう。

メインの庭の中は小花の薔薇を大型に仕立てず直植えにしています。それぞれ銘がありますが、もう頭に入りません。

メインの庭は花より緑を重視しています。リビングから見る薔薇の緑は目が休まります。
6月1日~15日 毎年前庭のドロシーが咲き始めると薔薇の季節は終わりかなと思います。

オベリスクに這わしたジャスミーナが満開になりました。

ドロシーを長く伸ばしてガーランドに仕立ていましたが、作冬3分の1に剪定しました。昨年はドロシーに隠れていたクレマチスのダイアナも見えるようになりました。


昨年はドロシーが咲くと花を終えていたマルメゾンとマイディアが次々と咲き続け、おまけにクレマチスも咲き終わりません。

メインの庭のガゼボに仕立てた群星です。緑の美しい薔薇です。

緑の中の小花の薔薇もそろそろ終わりに近づきました。前庭は薔薇の花、メインの庭は薔薇の緑と分けましたが、今年の風にそよぐ緑の風景はかなり気に入っています。

3度にわたるランブラーローズの剪定が終わり今年の薔薇の季節は終わりました。