山と自然のエッセイ、飛鳥山のお花見

今年の桜は、開花前雨の日が長かったりして、開花期間が異様に長く見沼田んぼの桜も4月8日の桜吹雪で完全に終わりました。
見沼田んぼの桜まつりは3月29日で終わりましたが、満開はこの日でなく31日から3日と長く、そこから桜吹雪と花筏が始まり思いの他、この期の期間が長く、毎朝のウォーキングでは既に桜のシーンを期待していないためスマホを所持せず、道路の花の絨毯や用水の花筏の絶好のポイントを撮影できませんでした。特に大雨が降った翌朝の用水は水量が多く流れが早かったため、よどみがちな花筏でなく水面を覆うがごとく桜の花弁が流れている様は印象的でした。
ということで今年の見沼の桜回廊は3月24日から4月8日の2週間に亙ってさまざまな桜の光景を楽しむことができました。

4月1日、山の会のOB仲間の豊田、行方両兄と桜見物を兼ねてランチで昼飲みを楽しもうと王子飛鳥山に行きました。メンバーは総武線の千葉、西武線の練馬、京浜東北線の浦和で、それぞれ会いやすい桜の名所では真っ先に上野が考えられますが、混雑が予想されるため、飛鳥山の桜と決まりました。

昔に比べると王子駅は南北線の駅ができたりして少し変わりましたが、時間をつぶす商業施設がありません。
行方兄が予約してくれたイタリーレストランに向かいます。今はグーグルマップがあるため迷わずに行けます。大昔に王子駅周辺にはこのような店はありませんでした。

新しいレストランは味とメニューが斬新です。このレストランの特徴はバイキング形式のオードブルが豊富でお代わり自由です。ついメイディッシュの他にピザでもと
想いましたが、オードブルでお腹がいっぱいになり黒ビールもおいしかったので、ピザは無しでデザートにしました。
昼時で予約制ですが、カウンターもテーブル席も満席でした。

5期下の豊田兄、9期下の行方兄です。2人とも山の会の最先鋭のメンバーで、豊田兄は現役時代学生だけ4人でヒマラヤの未踏峰に挑戦し、その後直ぐ山の会アンデスの縦断登山隊に参加し登攀隊として活躍しました。理工学部数学科の俊英でアンデス遠征後、エクアドルに残り都合8年南米暮らしを行い、仕事をしながらアマゾン探検などやってきました。
TOEIC910の異才でスペイン語はもちろんの事英語やドイツ語も良くします。
行方兄は山の会幹事長としてクライミングに熱中し、当時の山岳部も含めた早稲田の岳界でアルピニズム最先鋭のクラブに育て上げました。卒業後は当時最先鋭のクライマーとして、18年明神岳ワサビ沢で亡くなった高野をザイルパートナーとして、雪崩の巣と呼ばれ初登攀後長い間登られなかった谷川岳一ノ倉滝沢第3スラブの数登目を成し遂げました。亡くなった高野兄も当時我が国最先鋭のクライマーと共に積雪期の穂高周辺のアルパインクライミングを行いましたヨセミテで創世記のフリークライミングに転向し、穂高四峰新村北条ルートのフリークライミング化などを実践していました。彼は法学部卒業後組織人となり、某大手企業での執行役員として歴史に残る業務を遂行してきました。
彼は定年退職議、再びヨ-ロッパアルプスの壁を目指すべくトレーニングを行っていましたが、練習場で墜落し体内に80本近いボルトを埋め込む大手術のご3年間のリハビリ後、車イス生活から自力で歩いています。

2人ともいわゆる異才の人物で、彼らとの交友は、山でも仕事でも中途半端な人生しか歩めなかった私にとって、彼らの話は毎回1冊の充実した書物を読むぐらいの楽しみが得られます。その背景には山の会の様々な人が織りなす歴史も背景にあります。早稲田の交友は学生時代だけでなく死ぬまで続きます。

飛鳥山は江戸時代享保の改革を行った第8代将軍吉宗の時代、当時江戸で桜の名所は上野寛永寺にしかななく、江戸町民が楽しむ場が無かったので、飛鳥山に1270本の桜を植えて名所にしたのです。

染井吉野の誕生は18世紀後半ですから、当時の桜は江戸彼岸だったのでしょう。

飛鳥山は年季の入った公園です。明治6年、上野、浅草、芝、深川、飛鳥山を東京市の公園第1号となりました。

雨模様の下、桜は陽の輝きはありませんが、そぼ降る雨の桜はまた良いものです。

北区飛鳥山博物館です。中にカフェがあるかと想いましたが、無かったのでロビーでしばらく話し込みました。行方兄がかかわった案件の歴史が書かれた本が出版されたので、本を前にして話しを伺いました。

日露戦争の戦没者の招魂碑がありました。私が招魂碑の撮影が趣味だと言ったら、2人とも苦笑いをしていました。

江戸の雰囲気を感じさせるたたずまいです。

飛鳥山も古木ばかりです。ソメイヨシノは成長も早いですが、生涯も短いので、これから各地の桜名所には大変な作業が待ち構えています。

飛鳥山名物日本一短いケーブルカーです。15m程度でしょうか。
雨の中お父さんと女の子が2人で桜見物にやってきました。長靴を履いて気温が低いためダウンを纏い、笠はお父さんがしっかりと持っています。女の子のお母さんが結ってくれた赤いリボンが可愛いです。若い優しそうなお父さんと窓から下の通りを眺める女の子との絵になる風景です。
中年になってから想い始めたことですが、特別な景色とか、旅とか、行事もありますが、日常の取り留めないこのような時に眺めたふとしたことが、案外記憶に残っているものです。多分若いお父さんも、可愛らしい横顔を見せる女の子も、多分記憶に残る時になるような予感がします。