薔薇のエッセイ21、夏から初秋の薔薇

季節は初秋となりましたが、温暖化の勢いが増し9月の中旬になるのに、日中は32℃以上の猛暑が続き、夜もエアコンが必要です。


学生時代のある年、9月15日に薄いセーターを着て学校に行った記憶が残っています。この記憶は40年以上前から9月中旬になると何故か決まって蘇ってきますが、近年ではさすがセーター着用など想像するだけで暑苦しいので、記憶を想い出すことはありませんが、9月中旬という目立つ要素が皆無な狭間の季節に入った今、改めて想い出して書いています。

なぜ9月15日にセーターを着用した記憶が残っていたか、その記憶はなぜ生まれたのか定かでありませんが、40年前は秋の山を想い、ガーデニングを始めてからは植物と接していた時に蘇ったのかも知れません。

9月中旬を過ぎると気温は毎日1℃ずつ下がり、つるべ落としに秋はやってきます。山岳では夏の終わりから約1か月後に最初の新雪が降るため、9月中旬はその境目になる気候なのです。

家庭菜園では9月初旬から中旬の短い期間にダイコンの種子撒きを行う必要があり、ダイコンは労少なくして最も益が多く、私は食べきれないため栽培しませんが、大多数の家庭菜園では実施しています。また春菊やホウレンソウなどの菜ものも、この時期に種子撒きをしないと秋に食べられません。

また薔薇の世界でも、バラ園では10月のバラ祭りに開花させるために、約40日前の8月末から9月初旬に夏剪定を行います。

このように植物の世界でも、9月中旬は8月の盛夏と一線を画し、毎年作業も、気候でなく季節に合わせて合わせて行いますが、昨今の暑さは、盛夏と初秋と明確な季節の区別がつかず作業だけは行うことになります。

盛夏から初秋にかけて薔薇の外形的な姿は変わらないのに、この時期気になるのはゴマダラカマキリの幼虫の食害です。
先日雑草を取ったらロココの草の影でオガクズが一杯出ていて慌ててトラサイドをかけました。2~3日後観察したら再びオガクズが生じ再度株元に噴霧しました。その横のマイディアにもオガクズを発見したので、我が家の薔薇すべてに薬剤処理を行いました。そして本日午前中、学校の薔薇すべてにトライサイドとダイアジノンの散布を行いました。

地面の下では、害虫は盛夏と初秋をわきまえて活動しています。

考えてみたら、60年前の学生時代の9月中旬には薄いセーターを着るほど涼しい日があったのでしょう。私の半生の記憶だけでも地球温暖化は急速に進行しています。

今回掲載した一連の画像は、わが庭の8月の盛夏の頃から今までの約1か月間以上の画像を混在させています。これはデジカメの同じSDカードに約1か月半、記録し続けていたためです。
画像の季節が同じに見えるのは、本来盛夏と初秋と景観が変わらなければならないのに、9月中旬になっても盛夏の光景と大して変わっていないことが問題なのです。

地球温暖化は夏と冬が長く、間の春や秋が短くなるような気がします。春は早春の概念があるから、極端に短くなることはないですが、9月中旬になっても真夏と同じことは、もうすでに半月秋が短くなっているのです。

秋と言えば、私が薔薇初心者の時、毎日の定期的な水やりが原因で、秋遅く水のやりすぎの根腐れで何本も枯らしてしまった記憶がありました。

その当時は、今に比べて草花のウエイトは5~6倍多く、残暑の9月に入っても真夏と同じように、草花が渇いてしなだれて来るのを見るのが嫌で、毎日定期的に草花に薔薇と一緒に水をあげていました。その習慣は10月も続きましたが、10月末位になると薔薇が元気が無くなる薔薇も生じ、それらの薔薇は11月に入ると葉を全て落としてしまいそして幹が変色し枯れてしまいました。

そんな失敗からその時考えたのは薔薇は、秋になると水を欲しがらなくなるのかも知れないという仮説でした。
薔薇は冬になると休眠します。そして早春に冬の眠りから目を覚まし芽を膨らませ、やがて一気に芽吹きに向かいます。そのような生態を考えると、薔薇が水が欲しがる時期とそうでない時期に分けられるのではないかと想いました。
水を欲しがる時期は、芽を膨らませて芽吹きの直前から開花し2番花3番花を咲かせ、開花後、枝を伸ばし暑い夏を過ごすまでで、反面、9月中旬から成長活動を鈍化させるため、他の草花と同じように水やりはせず。徐々に量や回数を減らし11月末からの休眠期に備えます。また梅雨時は水が必要な時期ですが、晴れたからと言って定期的に行うとこれまた根腐れを起こすことも学びました。更に鉢植えの薔薇を大きくさせたかったら、春先には根の細根まで水が行くようにたっぷり水をあげることも学びました。

秋は薔薇の成長期というより、休眠期、衰退期の季節です。初夏に比べると葉の数も落葉して少なくなり、光合成も活発に行わなくなります。葉を落とし光合成が行われなくなったら薔薇は水分を葉から蒸散できず、根に必要以上に水が供給され結果的には細根が枯れて、根から水を吸収できなくなり枯れ死します。
また老木はゴマダラカマキリやコガネムシの幼虫に食害される時期でもあります。秋のシュラブ系の薔薇栽培はいかに花を咲かせるかより、いかに葉を落とさせないか気を遣う季節だと想います。またゴマダラカマキリにやられたと想い枯れた株を抜いて穴を探してみると、全く穴が見つからない薔薇もいくつかありました。ゴマダラカマキリにやられた薔薇も穴が見つからない薔薇もひとしく白い細根がなく、コガネムシの幼虫に食害された恐れもありました。ということで近年では、ダイアジノンも同時に散布しています。

連日の猛暑は、30年培えた薔薇の経験も左右するほど異常気象です。ただ忘れてならないのは薔薇の原産地はユーラシア大陸西の比較的高温の乾燥地帯であり、東アジアのモンスーン地帯の植物でないことです。

多くの薔薇の台木は国産のノイバラを使用しています。ノイバラは我が国原産ですが、野生の原種ノイバラはどのような場所に生息しているか、あまり見たことはないでしょう。

山に行くと野生のノイバラを時々見かけますが、その生息地は沢筋の崖の斜面に根を横に大きく広げて這えています。沢筋と言っても水の流れのそばでなく、雨の時崖から落ちる水を吸い込みながら生きています。しかも根は崖の斜面に横に大きく広げて乏しい水分や養分を吸収しています。このことから言えることは、ノイバラは水が多い場所は好まず、水に浸からないように崖の岩の斜面に、根を横に広げて、広げた分だけ枝を伸ばしています。イングリッシュローズの台木は直根性のラクサですが、それ以外のノイバラの台木の薔薇では、根は横に広がってきます。庭ではこの姿をいつも思い浮かべて栽培しています。

パレードは優秀なクライマーですが、花がひつこいため30年間栽培してきませんでしたが、歳を取ると労少なくして花を得る栽培効率も考えるので、そのためには良く咲く薔薇を植え始めています。昨年アーチに抱かせました。夏中良く咲きました。
右は30年近く楽しんでいた香りの薔薇フランシス・ヂュプルイユが枯れてしまったので新苗を栽培しています。

ロープ・アラ・フランセーズです。長たらしい名の薔薇は書くのが面倒ですが、とても優秀な大型シュラブで夏中良く咲いています。花は初夏は見事です。右はレオ・ナルド・ダビンチです。栽培効率が良い薔薇のため長い間手を出さず学校には植えましたが、やはり歳をとると開花効率も必要なので植えました。

昔はボレロ、買おう、買おうと想っていながら手に入れませんでしたが、やはり買いました。右はウイリアム・シェークスピアです。

セントセシリアは老木なのに本当に良く咲いてくれます。右はフェアリーです。

夏空です。秋のいわし雲はまだ1回しか見ていません。今これを書いている窓の外は夏雲です。

手入れのいらない草花ばかり植えています。メランポジュームがあまり元気が無くなって来ています。意外にブルーサルビアが元気でした。

このジニアは気に入っており、コリウスは昔から好きでありませんが便利です。

水やりだけでほとんど手入れをしていません。考えてみればガーデニングを始めて30数年、アメリカンブルーを初めて植えない年になりました。

はみでた枝を少し切りましたが、本格的な剪定は年末に延ばしました。

ここも年末までいじりません。

ここも年末までいじりません。

伸びた脇枝はカットしましたが、本格的な剪定は年末に行います。

庭は薔薇の手入れより雑草の始末です。1週間経つと花壇を覆ってしまいます。

庭の薔薇のほとんどがシュラブローズなので、決まった剪定は行わず伸びたら切る、伸びたら切るの連続で、花も咲きたい時期に咲かせています。
夏の花の命は3日で、花柄だけは欠かさず積んでいます。

マイディアとマルメゾンクライマーです。夏中良く咲いてくれます。

アイアスバーグで一年中咲き続けています。一度真冬も切らなかったら冬中咲いていました。イングリッシュローズのジェームズ・オースチンです。夏中良く咲いています。

大好きなクラウン・プリンセス・マルガリータです。右は貴重なシャリファ・アスマだと思います。

盛りを過ぎたエイブラハム・ダービーです。右は蠟口です。

クリスチィ-ナです。白バラはハレーションを起こすため、実際はもっと美しいです。右はプロスペリティです。夏中良く咲きました。

追伸:ゴマダラカマキリの幼虫駆除

ロココ、マイディア、ブルーマジェンダとゴマダラカマキリに食害されたオガクズを発見し、トラサイドAの噴霧によってオガクズは収まり、毎日様子を見ています。
ところが、密集したアメジストセージの影にあるクライマーのアルキミストの株元を点検したら、全く見えない方向に大量のオガクズが出ていることを発見しました。

先が尖ったミニの移植ごてで、株元の樹皮を剥がそうと、コテ先で突いていたら樹皮がまとまって剝がれたので、幹内を上部へ探っていたら、案の定大きなゴマダラカマキリの幼虫が潜んでいました。

あわてて火ばさみを取りに行き、幼虫を摘まみだしました。幼虫はかなり大型でそのまま下水溝に捨てました。

株元から10㎝ほど食害されていました。密集したアメジストセージの影で、何日も私に発見されず食害し続けていたのでしょう。株元の樹皮がかなり柔らかくなっているため、幼虫をほじくり出すことができました。

通常予防でのトラサイドAはジョウロに稀釈して株元に散布していますが、オガクズを発見して駆除する場合は、近年ほとんど穴を見つけることが出来ません。そのため株元とその上の枝に対して丹念に時間をかけてハンドスプレーで散布します。毎日株元を点検し、オガクズが出なくなったら幼虫は死亡したとみなし、オガクズが再度出てきたら、未だ生存しているので、オガクズが出なくなるまで対処します。画像は対処中のマイディアです。

この秋になり最初にオガクズを発見したロココの株元です。虎の尾が株元を覆っていて全くオガクズには気が付きませんでした。

家の裏面に植えてあるアルベルティ-ンです。陽がかげっているので、アルキミストのゴマダラカマキリ幼虫の対処を終わって、もしかするとゴマダラカマキリに食害されているかも知れないと予感し、このアルベルティ-ンの株元の雑草を取り除いたら、案の定猛烈にオガクズが噴き出ていました。株元の隙間からオガクズを掻きだし、トラサイドを噴霧しました。このアルベルティ-ンは30年選手で、今まで何回もゴマダラカマキリの幼虫に食害されて来ましたが、株元が巨大で少しぐらい食害されてもびくともしません。
また老木のためゴマダラカマキリの幼虫にはおいしくない薔薇のため、食害に対し安心していましたが、今年は食害の当たり年なのかも知れません。

猛暑のためトラサイドの散布は、初夏から空いてしまいました。温暖化は暑さに強いゴマダラカマキリやコガネムシに有利で、昨年から活動が活発だったのでしょう。日常殺虫剤の噴霧は行っていないため、暑い夏中我が家はゴマダラカマキリやコガネムシの格好の標的で、たくさん卵を産んでいるのでしょう。これらが越冬し来年攻撃されるため、今秋から幼虫対策は手を抜けません。