23年薔薇友訪問記2、井上さんの庭
井上さんとは20数年前、私が薔薇を始めた時からの家内共々の薔薇友です。
最初は愚犬を通して、近くに行ったら挨拶する程度の犬仲間でしたが、私は当時ガーデニングにはまっていて、空間を埋めるためにツルバラを2本植えましたが、その3年後大型に成長した薔薇花が、私が英国のボーダー花壇に憧れて植えた自然風な草花と全く合わず、知人に抜いて譲ってしまいました。
ちょうどそのような時期、井上さんの庭で改めて薔薇を見させて頂いた時、2mほど伸びたイングリッシュローズのマサコとグレハム・トーマスに出会ったのです。
井上さんは埼玉ばら会に所属していて、以前からハイブリット・ティを栽培してきましたが、好奇心の強い井上さんは、シュラブローズに眼を点け、当時少しずつ始まっていた岐阜のローズ・オブ・ローゼスから苗を取り寄せたのです。
ハイブリット・ティは昔から知っていましたが、ガーデニングを始めても強いて薔薇栽培を始めて見ようと想わなかった、枝が細くしなやかな樹形のこの2本のシュラブローズは私が望む野に咲く自然風な姿の草花とぴったり合うのないかと強い予感が心を貫きました。
その時から私の狭い庭が、イングリッシュローズやオールドローズ、ランブラーローズなどのシュラブローズで90本以上にひしめき合うのに5年はかかりませんでした。
それから20数年、井上さんは私のシュラブローズの戦友ともいえる存在でした。
それから井上さんは、薔薇と犬好きが昂じて、薔薇と3頭の大型犬のために引っ越しを行い、そのための家を建てました。
1階は大型犬3頭のための部屋、とカーポート、薔薇は階上の人工地盤に、地植えとコンテナの両面で栽培しています。
井上さん宅のアプローチは特に見事です。階段を登りながら、どんな薔薇の光景と出会えるのか、胸がときめきます。
階段を登りきると、玄関ドアに近づきますが、この階段途中の薔薇の仕立ても見事です。シュラブ樹形の薔薇の特徴を生かしながら、限られた場所でその能力をめい一杯生かす、井上さんの手腕にはいつも感心させられます。
階段を登り切り、玄関までのアプローチには様々な薔薇が迎えてくれますが、そこに向かわずメインの庭に入ります。
ここにアーチがあり、これを潜らないと庭に入れません。ここで場面の切り替えが行われる心憎い演出です。
一瞬薔薇の葉が密集した暗いアーチを潜ると、そこは光に満ち満ちた地中海沿岸の光景に変わります。
アーチは1基ではなく3連のアーチが、角度をつけて立っているため複雑な光景が広がります。
井上さんは今なお新しい品種を買い求めています。
風通しが良いため、薔薇の転倒には神経を払っています。また陽当たりと風通しが良いため、これだけ薔薇が密集していても、黒点病は少ないようです。
井上さんの薔薇の圧巻は、下から見上げた時の2階のフェンス際の薔薇です。
レイニー・ブルーもフェンスの外に張り出せばより見事になるでしょう。井上さんは外からの見え方には余り注意を払っていないらしく、むしろ自分たちが楽しめるように、内側の景観を重視しています。こんなことに気をかけていない所が井上さんの良い所です。
2階の人工地盤の薔薇の大半はコンテナ仕立てです。これだけの薔薇は、全て花柄を積んでおり、1個たりとも枯れた花が付いている薔薇は見かけません。
冬は剪定と植え替えで1か月以上はかけています。私も半日以上やらずのんびりやっているので1か月かかりますが、井上さんは早朝から家事をこなしながら1日中行っています。手際のよい井上さんですから、私の3倍以上の仕事をこなしているはずです。
井上さんの庭を見ていると、そのパワーに私も刺激になり、もう少しがんばろうという気になってきます。