私の薔薇講座その1(はじめに)

9月に入って台風の襲来の雨の日や、真夏のような残暑の日が続いていますが、暑い日差しを避けて午前中数日かけて、学校に植えた20本の薔薇を含めて庭の薔薇の夏の剪定を済ませました。
私の薔薇はほとんどがシュラブローズのため、一季咲きの薔薇を除いて夏から秋にかけて少しずつ咲いており、自然の咲き方を重視しているため、咲いたら切る、咲いたら切るの作業を繰り返しています。

薔薇はおおよそ剪定後40日で開花しますが、薔薇園にとってお客さまに10月の秋の薔薇を見せるためには、逆算して8月末の夏の剪定は欠かせません。しかし個人の楽しみで栽培している私の庭は、秋10月に花を咲かせる必要が無く、夏剪定はシュラブローズの乱れた樹形を整えるために行っている作業で、我が家の秋の薔薇のピークは寒くなった11月です。

真夏に摘蕾して秋10月に立派な花を咲かせるという、ハイブリット・ティの咲かせ方が伝統的な薔薇栽培マニュアルの中核であった時代から、近年ようやくシュラブローズが主流となり、薔薇愛好家に剪定を始めとするシュラブローズの栽培方法が認知される時代になりました。
しかし一般的には未だ薔薇初心者の間では、シュラブ系の薔薇とハイブリッド・ティに代表される木立系の薔薇との混乱が見られます。

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いつも書いているように、私が薔薇を愛好し始めてから30年近く経ちました。
突然、日常生活をできるだけ自然に接した暮らしにしようと、山の世界からガーデニングに興味を持ち、宿根草など自然風の庭づくりを始めましたが、それだけでは庭が平面的になるために、空間を埋める植物として薔薇が必要になりました。
薔薇のことは良く判らなかったためハイブリット・ティ系のツルバラを組み合わせましたが、実際に我が家の狭い庭の空間を埋めてみると自然風な草花と全く調和しないことが解りました。
その時既に植えてから3年経った2本のツルバラは大型に成長していましたが、知人に貰ってもらって、自然風な樹形の薔薇を模索し、その時初めて薔薇について勉強したのです。
こうして自然風な樹形の薔薇を探していく内、オールドローズとイングリッシュローズなどのシュラブ系の薔薇と出会ったのです。私にとってはこの出会いは衝撃的でした。


以来、薔薇に興味を持ち、あれもこれもとシュラブ系の薔薇を集めていく内、普通の薔薇愛好者が20数年かけて取得することを全速力で5,6年で駆け抜けました。この間、英国から数々のシュラブ系の薔薇を手に入れ、日本ではシュラブ系の薔薇栽培書がないため、デビット・オースチンやピーター・ビールズの著作を翻訳しシュラブ系の薔薇の概念と薔薇の世界での位置づけ、そして数千年にわたる薔薇の歴史を学びました。

私がシュラブ系の薔薇に出会った頃が、世界的に薔薇の世界でハイブリット・ティ全盛の時代からシュラブ系に代わる転換期の始まりでした。その流れは英国から始まりました。今当時を振り返ると各所で様々な変化の兆しが生じました。それは今となっては懐かしい想い出になりましたし、薔薇の歴史の変換期の流れの只中に遭遇する中で、薔薇の変革を目指した様々な人々と出会いました。それは今では遠い懐かしい思い出となっています。

薔薇を始めてから30年近くコンテナに植えっぱなしのオールド・ブラッシュです。今は切り戻していますが、毎年7回は一斉咲きを繰り返します。

私は20年前からブログとは別に登山と旅を中心としたHPを作成していますが、HPは各ジャンル毎に記事を積み重ねて長期間累積させるシステムですが、薔薇のような季節をタイムリーに表現するには、時間差が生じるためシステム上向いていません。
私の興味は、登山、歴史の旅、薔薇ガーデニングですが、薔薇ガーデニングのジャンルはHP上タイムリーな記事とならないため、薔薇ガーデニングのジャンルは、新たにブログを立ち上げて、ブログを中心に進めて行こうと考えたのです。

しかし実際ブログを始めてみると、薔薇の花の美しい時期は5,6月に限られて、ブログでのタイムリーな薔薇の記事はこの季節に集中し、他の季節は手入れについて時々触れるだけに終わってしまうことに気が付きました。
改めてブログでの一年を振り返ってみると、日々の暮らしの中では薔薇と接する時間が一番多いのにも関わらず、日記形態のブログでは、当初意図したことに反し薔薇のウエイトが極端に少なくなっていることに気が付きました。

従ってブログタイトル「薔薇と自然のエッセイ」と設定しているのにかかわらず、薔薇の記事が少なくタイトルと内容との著しい乖離が生じています。

しかしもう少し薔薇の記事を増やそうと想っていても、2,30年前の薔薇に燃えて熱くなっていた頃だったらまだしも、今さら薔薇の概念や薔薇の性質、歴史、栽培の基本的な考え方などについて改めて偉そうに書く気にもなれません。

昔10年間我が家の玄関脇を飾ってきました。ヘリティ-ジ

昔、行っていた薔薇講座を想い出しました。

人生最後は、趣味の仕事を行おうと2011年から2019年までの8年間、ガーデンセンターで薔薇の接客と薔薇教室を実施して来ました。
ブログでは5月の薔薇シーズンに約30軒の薔薇庭の訪問記を掲載していますが、訪問記に登場するほとんどのお宅がこの時、継続的に教室に参加されていた方々です。

先日、私の部屋の書類キャビネットを整理していたら、当時の教室のたくさんのオリジナルテキストを見つけました。これらを眺めていたら、改めてブログで私の薔薇講座として発信して行けば、もう少しブログでの薔薇のジャンルのウエイトも高まるに違いないという想いが閃ていて来たのです。

ブログでの薔薇講座には問題点もたくさんあります。
たとえば言葉で話すことと異なって、言葉を文章にしてブログに掲載することは膨大な文章の量が必要になります。
これに対処するためには、全方位でなく私なりに考えている必要な要点をエッセイ風に表現して行ければ良いかなと考えました。
ただしせっかく書くのだから、多くの人たちが言っていること以外の、私のオリジナルな考えを披露したいとも想っています。大体これら、私のオリジナルな考えは、独りよがりですが、永年自分なりに考えて来た一つの真理であると想ってもいます。

またホームページに比べてブログは、画像や図解など限られたスペースしか使えないという技術的なデメリットもあります。また商売でもないので具体的な商品(薬品、肥料、土壌)などどう表現したら良いかという問題もあります。これらはスタートしてから考えて行きたいと想います。

今回は講座の考え方について触れました。実際の講座は次回から始めたいと考えています。

ガーデニングを始めた時、千葉の内房の漁村で買ったタコ壺です。


薔薇の基本について(昔使用したテキストから)


下の画像は当時使用した教室の第1回目の薔薇の基本のテキストですが、参考まで紹介します。
この内容は1のバラの種類や性質の基本は、1時間半の講座で行いましたが、2のバラの活用方法と3のバラ栽培の基本については、概略だけで具体的には、以降の教室のテーマになりました。

改めてバラの基本のオリジナルテキストを見ても、今でも考え方は変わっていませんので、これに沿って講座を始めて行きたいと考えています。
通常、薔薇教室というと、直ぐ選定方法とか管理方法とかハウツーが言われますが、私が薔薇を始めた時、書物で紹介された栽培方法について様々なやり方に迷い、苦労した経験から、ハウツー以前の薔薇の基本的な事項の解説から開始し、薔薇栽培の最終目標である薔薇庭づくりの方法まで、1年間のカリキュラムを組んで行いました。

私の薔薇講座の基本的な考え方は、栽培する薔薇はガーデンローズであり、庭づくりの素材であることです。庭づくりは極端に考えると1坪でも10坪でも面積に関わらず
庭に薔薇を主役とした舞台をつくることで、庭のオーナーは演出家でもあるのです。劇には必ず主役、準主役、脇役が必要です。全てが主役だったら舞台は出来ません。

薔薇は基本的には樹木であり、そうかといって他の庭木のように1年に1回の剪定だけで放任して栽培できるわけではありません。
また一年草や宿根草のように飽きたからと言って気持ち的に抜いて廃棄はできず、薔薇を植えたら少なくとも数年、或いは10年以上付き合って行かなくてはならない植物です。

また薔薇はベランダでの栽培を含めて、薔薇を中心とした庭づくりの素材でもあります。その素材の活かし方は、ベランダでは鉢植えになりますが、庭植えの場合、全てを直植えにすることなく鉢植えとミックスもあります。薔薇庭を作る場合、均等に薔薇を配していてもそれは薔薇庭でなく薔薇畑になってしまいます。

薔薇は世界の長い歴史を経て改良された歴史があり、そうして生まれた薔薇にはさまざまなタイプがあり、これらの薔薇素材にふさわしい位置づけを与えて薔薇を配することも、庭の奥行きを深めます。奥行きの深い庭とは年季の入った庭となるのです。

薔薇栽培にはガーデンローズの膨大な薔薇の品種が存在し、これらの情報に接するだけでも、大変な労力が必要になります。このため自身薔薇の分類をしっかり把握し、ガーデンセンターでたくさんの薔薇を前にして、自身でどれを選択するかの判断の基準を持つことが必要です。

気に入ったカラーの薔薇を数本栽培するだけなら、薔薇の基本的な性質だとか、薔薇の歴史から来る薔薇のグループの知識などは必要ありません。ただお気に入りの薔薇がどんな薔薇のグループに属しているか、知っていた方が楽しいし、その性質が理解しやすいのです。

ジ・アレクサンドラ・オブ・ケントは真夏に良く咲く薔薇です。

当時の薔薇教室のスケジュール(参考)

下の図は当時の薔薇教室の年間スケジュールですが参考まで紹介します。

以下の内容で、毎月同じメニューを3日間、8年間行って来ました。
下のスケジュールは、ガーデンセンターの薔薇園で実地に体験して頂きながら行ってきた教室の内容です。ブログ上でどのくらい表現できるか分かりませんが、私の頭の体操のつもりで、楽しみながら書いていきたいと考えています。