25薔薇友訪問記28、那須、Mさんの庭

2年ぶりの訪問でした。やはり2年前と比べるといろいろ新たな発見がありました。
いつ訪れてもMさんの庭は完成形だなと想っても、翌年訪れるとまたまたそこかしこに新たな試みが見つけられ、庭というのは完成形は無いのだなと感じます。

Mさんご夫妻は共に登山が趣味で、ガーデニングも趣味で、ガーデニングの範囲も薔薇、草花、宿根草、山野草、花木そして菜園と幅が非常に広く、庭は様々なジャンルの引き出しに満ちています。ご夫妻は自然が好きでリタイヤ後、この地に移住しナチュラルな暮らしを楽しんでいますが、庭のそこそこのディテールに表れているのを宝探しのように見つける楽しみがある庭です。このレベルになると感性の表現というより美の思想そのものの表現のような気がしてきます。

玄関前に2つの緑のブロックがあります。住宅地では、小さくても中々このスペースは取れないのですが、Mさん宅は大きなスペースを採り贅沢な空間を作っています。
玄関前の空間は、訪れる人の気持ちの期待感を掻き立て、迎える人は一目で住まう人の概念を表現する場となるため、住まいの貌となります。
ということは解っていても自分の住まいの玄関には、なぜかそれほど気を使いません。きっと自分たちの出入りを最優先にしているからでしょう。
ドラマで見る江戸の昔の屋敷は玄関と通用口を分けていましたが。

多分プロの造園屋さんに玄関前をこうしたいと言っても、Mさんの玄関は作れないでしょう。それはセオリーがあっても思想が無いからです。

相変わらず周囲の森を借景とした美しい緑の庭が広がっています。画像を眺めていると森と緑の芝はやっぱり会うのかなと思います。

以前に比べると菜園のスペースが小さくなっているように感じます。以前初めて訪れた際、菜園は野菜を作る場だけに留まらず、見せる菜園を試みていたように感じました。

今回訪問すると、ウイーピングスタンダードづくりに凝っていて、様々な品種がスタンダード仕立てにされていました。小花のランブラーに造詣の深い松本さんはスタンダード仕立ても、最高峰のウイーピングに向かっていることが印象的でした。

林の樹にヒマラヤン・ムスクが登っています。これも面白い試みです。

建物の壁面にサポート用具を自作して夢乙女?を巡らせて遊んでいます。庭にいると次から次へとアイデアが浮かんでくるのでしょう。

庭の全景です。庭の敷地では普通、菜園は隔離して目立たなくしているのに、初めて訪れたMさんの庭は菜園が庭の主役で驚きました。しかし自然の暮らしはベジタブルがあって花は脇役になります。我が家の菜園も野菜が主で花は畑の端に位置しています。この考え方を庭に持ってきたら当然、野菜が主となりますが、野菜は見てくれが美しくないため、Mさんは見てくれの美しい菜園を目指していたのでしょうか?

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背景の森の緑が庭の花々と良く似合います。
この風景はヨーロッパの風景でなく本来の日本の風景です。昔、農家は屋敷林を背景にして菊やグラジオラスやダリア、ミソハギ、オミナエシやホウセンカなどの仏花を咲かせていました。我が家が借りている家庭菜園では、周りの人々は家で栽培できない大株の草花を仏花用として栽培しています。


ガーデニングを未だ初めていなかった40代の夏、仲間と早池峰山から秋田駒を目指し岩手の田舎を車で走らせていました。その時沿道の農家の庭先は昔見た夏の仏花が所狭しと咲き乱れていて、子供の頃の浦和郊外の風景を想い出しました。私がガーデニングを始めたきっかけの1つは仏花づくりでした。

今まで撮影したディテ-ルの一コマ

窓から小鳥の模型が見えました。Mさんにお尋ねすると趣味で随分作られたそうです。私も子育てに忙しい頃山も中断していても木工に励んでいた頃がありました。デコイは欅を削ってつくったり、当時はジエルトンのキットが売られていて何羽か購入しましたが、彩色が難しく途中で断念し鳥から離れました。Mさんの鳥は羽もけば立ててキットでなくオリジナルです。この鳥を見てMさんの庭の秘密が解ったような気がしました。

DIYで制作したエアコンカバーととなりのコンテナは作り放しでなく、キチンとメンテナンスされています。このメンテが中々やっかいです。

この画像を見ていてハッと気が付きました。片手鍋です。先日家内が20年以上使用した重いアルミの片手鍋を処分するために、趣がるため家内も悩みましたが思い切って私が危険物の日に捨てました。考えてみたら片手鍋は庭でDIYの際に外した金物を一時保管したり、ペイントする際水を灌いだり、刷毛を洗ったり様々使い道があります。昔枕木を使用した外水栓が流行りました。珍しい形状の趣ある二口水詮、使い勝手のの良さそうなたわしなど、男のおもちゃが並んでいます。

私もデッキづくりが終わった際、余った2×4材で花車など様々な造形を楽しみましたが、この形は作りませんでした。あとは様々な石、日本では珍しい大型の松ぼっくり、瓦の遺跡のようなものまで並んでいます。Mさんご夫婦の自然との関わりの一部を表現しているようです。