薔薇のエッセイ14、学校の薔薇の冬剪定
2月は静かなようですが、春がまじかになり自然な季節や社会の季節が次々と動いて行きます。立春から雨水へ梅やロウバイが満開にすると、直ぐ3月が眼の前に近づきます。今日家内は焦ってお雛様を出して飾っていました。新聞には昔は3月だった埼玉県の公立高校の入試の問題と解答が折り込まれ、この時期受験生を持つ親御さんは大変だなと感じます。
またゆっくりでも良いのに、例年3月に吹く春一番も、先日慌ただしく吹いていました。という事は温暖化によって、今年は昨年に増して長い夏になってしまうのでしょうか。
落ち着いて考えると日常は大した変化は無いのに、昔に比べて社会全体が比べ物にならないほど慌ただしく動いているように感じるのは、ウクライナやガザなどの情報や、中国経済の情報、能登の被災地の情報、そして国会の金と政治の情報などがTVやネットを通じて絶え間なく流れて来るからでしょうか。特に年寄りになると時間があるのでよせば良いのに毎晩TVのニュース番組をハシゴしてしまうからでしょうか。
昔は新聞の情報程度で十分で、しかも新聞は鍛え抜かれた記者たちが必要な情報を厳選して送っていました。現在のTVは局が多く放映時間が長いため、各局無理やりコメンテーターを集めて情報を流しているように想います。正月に帰省した息子と娘と話したら、2人とも情報過多の時代に育った子供たちは、TVを持たなかったり、限られた番組しかTVを観なかったりそれなりの工夫をして情報に接していて、家内も映画と話題のドラマ以外TVを観ないので、情報過多に工夫していないのは私だけでした。
2月はまたさまざまな会の総会が開かれる時期です。幹事でも無いので、一つ一つの会は出席するだけで大したことは無いのに、普段着る時の無い衣服を確認したり、いくつか連続で予定が重なるととても忙しく感じてしまいます。現役の時は何十年も連続して慌ただしく過ごしていたことを思い出しながら、世間の生産年齢の世代の人たちはみな多忙さが当たり前で、人間というのは必要な時には対応力がある存在なのだなと改めて感じています。
暖かったり寒かったりする日々、庭を眺めるとクリスマスローズが満開を迎え、花壇のあちことにシラーが毎日1㎝ずつ茎を伸ばし始めています。1月中頃に剪定を終えた薔薇たち全ても、小さな赤い芽を膨らまし始めています。こちらは慌ただしいというより、季節は確実に動いているなという安心感を感じます。
ということで、薔薇の決まった季節の動きを手助けするために、先日暖かい日を待ってボランティアで植えている学校の薔薇の剪定と施肥を行いました。剪定は例年1月に実施していましたが今年の1月は寒い日が多く、暖かくなったらのんびり行おうと考えてきました。季節に反応して薔薇はもうかなり芽を動き出しているため、この時期が冬剪定のラストチャンスでした。
学校の裏門の薔薇から剪定を始めます。用務員の星さんと一緒に行います。裏門には私が設計し業者が施工したアーチがあります。アーチは間口が広く門の開閉の邪魔にならないようにコンパクトな1本バーで設計しました。このアーチにはスパニッシュ・ビューテイとアイスバーグ・クライマーを誘引しています。
アイスバーグ・クライマーは一年中(冬までも)白い花を咲かせてくれます。
スパニッシュ・ビューテイの開花は早く、他の薔薇に先駆けて、モッコウバラが咲き終わると直ぐに満開になります。
今年は脚立での作業は星さんに頼み、私はフェンスの薔薇の剪定を行います。星さんの作業は早く、私が剪定した枝も直ぐ片付けて、ダイヤジノン、堆肥、IB肥料の施肥を瞬く間に実施してしまいます。私1人で行ったら10倍の時間は要するでしょう。
剪定前のコーネリアとジャックリーヌ・デュ・プレです。左に大きな紫玉とボニカを誘引していますが、写真を撮り忘れました。
剪定後のコーネリアです。余分な枝は剪定し枝間を空けて整えます。植え場所は薔薇を植えるように設計しておらず幅25㎝の狭い空間しかありません。薔薇を植える際、土壌の量が命なので星さんに深さ70㎝ぐらいまで掘り上げて、赤玉、植物系堆肥をブレンドした団粒構造の土壌をつくりました。そして過酷な条件に耐えるような品種を選んで植え込みました。
ハイブリッド・ムスクのコーネリアは十分その任を果たしてくれていつも花を咲かせてくれます。その隣のジャックリーヌ・デュ・プレはやはり成長が今一です。
剪定前のドロシーパーキンスです。ドロシーは我が家でも強靭さに定評があります。
剪定後のドロシーです。植え場所の幅がない過酷な所でもドロシーは十分その役を果たしてくれています。
ハイブリッド・ムスクでもフェリッシアはそれほど大型になりません。不思議なのは期待したフェアリーも余り枝を広げてくれません。
私の大好きなイングリッシュローズのファール・スタッフです。やはりイングリッシュローズの根には土壌が不足なのか花量は少ないです。
札が取れてしまって、品種が不明になってしまいました。花が咲いたら思い出してみます。
正面玄関のアーチです。開校時には正面には入り口がありませんでしたが、開校後開けることになり、ゲートに大型のアーチを私が設計し業者が施工しました。
アーチは北風がもろに当たるため、思ったように薔薇は伸びませんが、陽当たりと風通しが良いので順調に維持しています。でも既にアーチを設置してから10年以上経ちました。最初に植えたピエール・ドゥ・ロンサールはカミキリムシで枯れてしまったため、裏側の植栽から大型に育ったピエールを移植し、更ににぎやかにするために手前にもう1本植えました。またアーチの天井に伸ばすためにアルベルティ-ンを植えています。
アーチの北側はグレハム・トーマスです。アーチの肩までしか伸びませんが、冬を除いて絶えず花を咲かせてくれます。
グレハム・トーマスを北風から保護するため、後からシュラブローズのモーツアルトの大株を植えました。モーツアルトは四季咲き性が高くいつも花を咲かせてにぎやかにしてくれます。
2年前冬に入院していた時、いつも学校の薔薇が気になっていました。いつのまにか10数年経ちましたが、学校開校時、初代の校長の強い依頼でボランティアで始めましたが、当時はまだ登山も現役で元気で薔薇にも燃えていた時期でもあり軽い気持ちで引き受けてしまいましたが、今ではこれらの薔薇は私の子供みたいな存在になりました。元気でいる内は面倒を見ていたいと想っています。