薔薇のエッセイ6、けなげに頑張る真夏の薔薇

梅雨明け前に猛暑となった関東地方、ここ数日37度以上の高温が続いています。
猛暑のため水やりは朝晩の2回となり、夕方の水やりではホースの蛇口をひねってもしばらくお湯が出てきます。

真夏の日照りになると、いつも悩まされる蚊の襲来がなくなるため楽になります。私は蚊に好かれるタイプに変わったため、蚊の襲来さえなければ、朝晩の水やりは苦になりません。むしろ暑さに耐えて生き続ける薔薇たちに、水やりをすることで感謝の気持ちを表せるので、水やりは薔薇との対話の時間となるのです。

6月に入ってから梅雨空の時と比べると薔薇たちは元気を復活させているような気がします。薔薇が元気かどうか判断するのは新芽が活発に出ているかで見分けています。5月末から薔薇は猛烈に黒点病に襲われます。黒点病に無縁な薔薇はランブラーローズしかなく、多少強い弱いはありますが薔薇の大半は黒点病に侵されるのです。

しかし私は10年数年前から黒点病に対して薬剤を使用したことはありません。黒点病は陽当たりが良く風通しが良い場所では比較的かかりにくい病気です。しかし私の庭は住宅に囲まれているため風通しが悪く陽当たりも十分とは言えません。その中で工夫を重ねながら薔薇栽培を行って来ましたが、今では黒点病は克服できていると想っています。

薔薇を始めた時、当時出版されていたあらゆる薔薇の本を読みましたが、薔薇の画像は花の美しい5月の写真と冬の管理の写真だけで、真夏の薔薇はどんな状態なのか知りえませんでした。おそらく絵にならないため意識的に掲載しなかったのでしょう。

薔薇栽培を実際にやってみると、真夏は薔薇が最も見苦しい季節であることを肌で知りました。多くの人は真夏の薔薇に接して、初夏の美しさとあまりにもその見苦しさの相違に驚いて、栽培を断念する人が多かったと想います。

真夏の薔薇はそれぐらい見苦しいものですが、それでも丹念に手入れを行えば、初夏とは別な薔薇の姿を知り、我が国の高温多湿の環境に懸命に耐え、しかも成長を続けていく薔薇の健気さに出会います。また栽培する私も無い知恵を絞って薔薇を懸命に助けます。そんな薔薇との出会いが無かったら30年以上も薔薇栽培は続けてこなかったと想います。
恥ずかしいのですが、真夏の見苦しい我が庭を公開します。

午後4時、薔薇たちが強い西日を浴びています。西日でレンズが反射しています。ジリジリと陽が照る様を表現しますが、本当にジリジリという音が聞こえてくるような強い西日です。

夕方の水やりは5時過ぎて行いますが、薔薇たちは既に私の水やりを待っています。

西日を受けた茎、枝、葉ですが、本当に暑いのは太陽が真上にいる中天の時です。

オベリスクの上の方で、イングリッシュローズ、セント・セシリアが真夏の暑さに耐えて懸命に咲いています。けなげな姿です。セント・セシリアは音楽の守護聖人です。

初期のイングリッシュローズもそうですが、セント・セシリアは比較的黒点病には強い品種ですが、それでも5月末ごろから次々と葉が黒点病に侵されてきます。
葉に黒点がいくつか出てきたら、必ず5枚葉の葉の付け根からハサミでカットします。切った葉は下に落とさずゴミ箱で処理します。葉だけ取るのではなく5枚葉の葉の付け根からカットすること。そうすれば付け根からまた新しい芽が出てきます。新芽を出させるこの方法は10数年前から実践し、以来薬剤は使用していません。

6月頭には黒点病で葉が一枚も無かったバレリーナが青々としています。このバレリーナは枯れた薔薇の跡に大して新しい土壌を入れなかったため、連作障害が出ていました。枯れた枝を整理し生きている枝の脇枝を軽く剪定し新葉を出させました。

ヒマラヤン・ムスクやアルベルティ-ンのランブラーは5月中旬の花が終わると同時に花柄積みを兼ねて剪定し、6月にも2度目の剪定を行いました。次は8月後半を考えています。ガゼボを覆うラ・レーヌ・ヴィクトリアは5月の花柄積み後、7月初に伸ばす枝を残して大幅に剪定しました。

梅雨時から夏は雑草の季節です。昨年は雑草を採りやすいように通路を作り敷石を並べました。

今年、家庭菜園は隣家の御主人が返したので2倍の広さになってしまいました。昨年までは家内が1人で行っていましたが、今年は私も雑草取りを手伝っています。特に通行人はいないものの道路際の雑草がはびこり見苦しい事と、周りのみなさんはきちんと菜園を管理されているため、迷惑をかけないためこちらの雑草取りが大変です。

庭の雑草取りの対象は、前庭と横庭、そして家屋の横通路と裏側通路があります。私は前庭は月1度、横庭は私は月1度ですが、家内は目障りな雑草は定期的に抜いています。面倒なのは家屋の横と裏側通路ですが、めったに歩かないため月1度はとてもできません。先日、春以来2日をかけて行いました。
私は以前のようにガーデニングは1日中ということは無くなり、作業は午前中のみと決めています。

薔薇の季節、花や薔薇仲間のお宅を訪問すると、みなさん薔薇が圧倒的なボリュームで迫ってきます。昔の我が家の画像を見ると品種も多く、薔薇の季節は我が家でも皆さんの庭と同じく圧倒的ボリュームで迫ってきましたが、今は見る影もありません。

ということで、まだいのちが終わりそうでもないので、昨年から少しずつ庭に薔薇を植えています。
ただ困ったことに以前のように、どうしても植えて見たいという薔薇が無くなっているのです。未知の育ててみたいブランド薔薇も無くなり、毎年発表される花も似たような色合いのロゼットばかりで食指が動きません。そんな中で昔栽培して今は枯れてしまったオールドローズばかり眼が行ってしまいますが、それとてどうしても植えて見たいという気が無くなっています。そんなわけでコストの安いオールドローズの新苗に手を出しています。

このことは、今までイングリッシュローズのあらゆる品種を栽培し、その圧倒的なボリュームを味わってきたからこそ言えるのであって、イングリッシュローズやデルバールの豪快なシュラブローズを抜きにしては、現代のローズガーデンは作れません。今は圧倒的なボリュームの薔薇に囲まれるのは飽きて来たのと、カミキリムシやコガネムシの虫害に対してコスト的なリスクが少なく、成長まで時間がかかり楚々とした雰囲気が続くオールドローズの新苗に手を出しているだけで深い意味はありません。
登山に未知の魅力が無くなったのと同じように薔薇の品種にも未知の魅力が無くなったこともあります。
未知の山の魅力が無くなったからといって山に行く気はしなくなったことと同じように、薔薇の品種に未知の魅力が無くなったからといって、薔薇栽培が飽きた事ではないのです。

考えて見たらここ30年で大苗に比べて、新苗はそれほど多くはありませんが、品種の興味で3,40本ぐらいは購入しています。大苗に比べて4分の1の安い価格だったためと或いは処分品もあり、多忙だったこともありますが、購入してからかなりぞんざいに扱っていたため、今、我が家で新苗から育てて残っている薔薇は皆無です。
そんな反省を込めて、1昨年あたりから新苗を鉢で2年じっくり育て定植しています。ただし新苗の場合、苗の根に病気があるとか、継ぎ目が外れるものや、品種が違うものもあり割とリスクがあります。どうしてもメインの薔薇にしたい場合は3~4倍の価格の大苗を購入する方が無難です。

新苗を直ぐに大きくさせるのなら家庭菜園に植えて成長させれば良いのですが、それには水やりと毎日見守る楽しみがありません。春に購入したポットの新苗は8号鉢に移植しますが、秋になれば大苗になる訳ではありません。ノイバラの種子から育てた幼い台木は成長が遅く、それに継いだ新苗の株元も直ぐに太くがっちりした状態になるには時間を要します。

鉢植えの小さい薔薇たちに愛着を覚えてきました。

8号鉢に植え替え成長を見守っています。

野球で言えばファーム、2軍です。レギュラーの1軍入りに備えてじっくり成長を待っています。1軍のレギュラーがコガネムシやカミキリムシの食害にあって枯れた後、直ぐに戦列に入れるように待機しているのです。薔薇は待機所のファームで選手育成を待つ楽しみもあるのです。この中で苗の根に病気が入って期待に応えられず退場する薔薇もあります。苗が悪いのか自分の育て方が悪いのか、いずれにしても薔薇は工業製品で無いので、リスクは引き受けなくてはなりません。

正直言うと我が家ではもう薔薇を庭植えにする場所はありません。1昨年庭の小改造で、小輪の鉢植えの薔薇を数多く庭植えにしてしまいました。成長して密集してきたら大変なことになりそうですが、刈込や仕立てによって大型化を防ぐ予定です。

そういう中で大半の薔薇は植え場所未定で購入してしまいます。そういう中でブランド薔薇の新苗は時間稼ぎには良いのですが、他の新苗に比べると価格が高い部分苗がしっかりしているので安心ですが、逆に植え場所を決めなければならないプレッシャーが生じてきます。

待機中のクリスチアーナとバロン・ジロー・ドゥ・ランです。

昔、この庭のスペースは18畳の全面ウッドデッキでした。犬を遊ばせようとDIYでつくりましたが、いつのまにか鉢植えのローズガーデンになってしまいました。ウッドデッキも腐食して来たので、デッキを壊して通常の庭にしたのです。今まで随分と手間とお金がかかりましたが、振り返ってみると楽しい想い出でした。時間が出来た時にウッドデッキ始末記でもブログに掲載しようと想います。

可愛くない野良猫が覗いています。

フェンスの壁面に植えた薔薇が段々育ってきました。2本とも昔鉢植えで栽培していた品種です。左はハイブリット・ムスクのコーネリア、右はオールドローズ、ダマスクのマダム・ハーディです。マダム・ハーディは友人の倉田さんから大苗を頂きました。この2本の場所は陽当たりが悪く朝日の時しか当たりません。早く伸びてフェンスの頭に行けば陽を浴びられます。

ラ・レーヌ・ヴィクトリアが直上し、PCを行っている私の部屋の窓の高さまで挙がってきました。今までの経験から仮誘引をしたいのですが下手すると、付け根からボキッと折れてしまいまそうです。秋遅くなり付け根が木化して固くなるのを待ちますが、或いはそっと弓なりの仮誘引するか迷っています。

翌日、長く伸びた枝を折れないようにそっと仮誘引しました。これで台風が来ても折れる心配はなくなりました。

先日ポールズ・ヒマラヤン・ムスクとアルベルティーンの伸びた枝を剪定したのにまた伸びてきました。せっかく懸命に伸ばしてきた枝を切ってしまうのは、可哀そうですが、ジャングルになってしまうため仕方ありません。

水やりは毎日行いますが、薔薇の手入れは5から6月は花柄積みとか、黒点病の葉の処理など、時間を見つけては定期的に行っています。しかし梅雨に入ると蚊がうるさくつきまとうため、毎日行うわけではありません。庭作業は蚊よけスプレーに加えて蚊取り線香を2個腰にぶら下げて作業を行うため、蚊取り線香を点けたり消したり面倒なのです。

黒点病が一段落して新葉が出て一安心ですが、新しい脇枝も伸びてきました。オベリスクに結束しようと想いつつも、暑いため中々その気になれません。でも乱れているのは薔薇が元気な証拠と自ら慰めています。と書いた画像を見てあまりにも見苦しいので本日、枝を整理して結束し新しい画像と入れ替えました。

ランブラーも花後、剪定しましたが段々伸びてきました。次に1段と伸びるのは9月です。その前の8月末に伸ばす枝を残して剪定する予定です。

半月ぐらい前涼しい日が続いたので、本格的に雑草取りを行いましたが、また直ぐに生えて来ています。8月末までこのままです。
それより今の季節黒点病で葉を落とし丸裸の庭が多いのですが、我が家では黒点病対策が功を発揮し、青々としています。

薔薇栽培で一番嬉しいのは株元周辺から新しいシュートが出てくることです。薔薇を始めた時様々な本で、株元からシュートが出てくると記載されていましたが、実際に栽培を行っていると、株元からのシュートはお茶の葉柱が立つ格率よりももっと低いことが解りました。

左はクライマーのアルキミスト、右はイングリッシュローズのクラウン・プリンセス・マルガリータです。マルガリータは10年位たっていますが、ボリュームが少なく困っていましたが、元気な枝がどんどん上がってきました。でも最後の頑張りの例もあるので安心はできません。

イングリッシュローズのエイブラハム・ダービーとウイズリー2008です。エイブラハム・ダービーは30年選手で毎年良く持って花を咲かせてくれると想っています。
両者黒点病にかかりますが懸命に葉の付け根を切り、脇枝をカットして刺激を与えましたが、その結果再び新葉が出始めています。両者6月中頃は丸裸でした。

ここには大事な薔薇がありますが、イングリッシュローズのダーク・レディは20年経ちとうとう枯れてきました。

後はイングリッシュローズのプリンセス・アレクサンドラ・オブ・ケント、シャリファ・アスマ、コンスタンス・スプレイがあります。皆葉を青々と着けています。

植え場所の宛てもないまま購入した大苗のジャスミーナです。12号鉢に植えているので、このまま伸ばして良しとするか、思い切ってかたずけて地植えにするか迷っています。

ルリマツリとアイズバーグ、オールドブラッシュです。ルリマツリはタキイ種苗の優秀品種で、リビングの横に薄いブルーがあり、これは濃いブルーです。白もありましたが枯れてしまいました。アイスバーグは7月に初に2番花が満開になりましたが、今は切り戻して休ませています。オールドブラッシュも絶えず咲いていますが、今の季節咲いても短いので切り戻しています。

夏の花は難しいです。アメリカンブルーは花柄積みが要らないので必需ですが、日日草では変化が無くつまらないです。右は北本の浪井さんから頂いたダリアの寄せ植えです。

今年の寄せ植えはダリアをメインにしたので、偶然浪井さんかいただいたダリアと同じになりました。ダリアは7月初に一度花を休みますが、再び上がってきました。

家庭菜園は家内が栽培している宿根カスミソウやフロックス、大輪のジニア、ミソハギ、グラジオラスが満開でこの時期仏花に不自由しません。

私はこのアメリカンブルーに魅せられてガーデニングが趣味になり、以来30年以上、初夏になるとこの花を植えています。