薔薇のエッセイ10、クライミングローズの地植え

クライミングローズは通称ツルバラと呼ばれていますが、正式には薔薇はスイートピーやキヌサヤ、朝顔のように、支柱や他の植物に巻き付いて登って行くツル性植物では無いため、英国ではクライミングローズまたはクライマーと言います。多分戦後薔薇の導入の際、できるだけ日本語に置き換えて翻訳するためにツルバラと誤訳したのでしょう。

上の画像の薔薇は今から約20年前の02年5月の我が家の私が一番気に入っていたクライミングローズ「レディ・シルビア」です。このCL「レディ・シルビア」はウエスト・フィールドスター、マダムバタフライと共に「オフェリア」の3姉妹と呼ばれた「レディ・シルビア」のクライマータイプです。

薔薇を始めた際、薔薇の世界にも登山を彷彿させる用語がいくつかあり、とても親近感を感じたことがあります。その1つがクライミングローズで、英書では略してクライマーと呼ばれます。登山用語ではクライムは攀じる、いわゆる登攀を意味しますが、氷雪技術を駆使して高峰登山を志向する登山者をアルピニスト、同じく氷雪技術を駆使して主に岩登りを志向する登山者をクライマーと分けており、更に岩を傷つけけない確保用具を使用して無雪期の岩登りを行う登山者をフリークライマーと呼んでいます。

私にとってクライングローズは、他の植物などに巻き付いて依存しながらダラダラ登って行くのでなく、自力でひたすら上に攀じて行く凛とした孤高の薔薇のイメージがありました。
薔薇が香水づくり以外なぜこれほど西欧世界で美の憧れの対象の植物になったか、改めて考えて見たことがありました。そして薔薇は、他に依存することなく凛とした孤高のイメージで自力で高く登り、しかも薔薇ほど大量に美しい花を咲かせる植物は他に無いことに気が付きました。

もう一つ、我が国原産の古来愛好されてきた椿と比較してみました。椿は古代神聖な花とされ、椿の咲く丘に人々が集い古代の市(飛鳥の海石榴市)が開かれたと言われています。椿は薮椿、寒椿、侘助など品種は多彩に広がりますが、薔薇のようにクライミング椿、ミニ椿など種類や花色も幅が無く、庭づくりの素材としてヴァリエーションが不足しており椿単独では庭は作れません。
反面、薔薇には椿に無い華やかなクライミングローズが存在し、他の種の薔薇と組み合わせて薔薇単独でローズガーデンをつくることができます。
もし、薔薇の世界にクライミングローズが無かったとしたら、立体的な庭はつくれず、薔薇畑のような空間しか期待できなかったでしょう。従って薔薇の世界にとってクライミングローズの存在は極めて重い存在なのです。

いきなり外輪の気帆船が登場しますが、薔薇とどういう関係があるのでしょう。

幕末オランダ国王から将軍徳川家茂に寄贈された400トンのコルベット艦、観光丸、長崎海軍伝習所で使用されました。

私は、昔から古い時代と新しい時代が切り替わりつつある時が好きで、時代が明確に変化していく時期に出現したものに無性に惹かれます。
船で言えば、2000年前から、自然の風を利用して帆走してきた船が、18世紀から19世紀にかけて蒸気機関という人類始まって以来の新時代の動力が発明され、帆船に蒸気機関を搭載し外輪の水車で水をかいて進む気帆船(蒸気船)が誕生しました。

この気帆船は、帆を張って帆走もするし、蒸気でも推進する過渡期の船でした。
ペリーの黒船や日本の使節団が初めて太平洋を渡った咸臨丸、明治新政府に抵抗し函館に集結した旧幕府の榎本艦隊の気帆船にはゾクゾクしてきます。復元された長崎の観光丸や、榎本海軍の旗艦で北海道江差で引き揚げられ復元された開陽丸には、はるばる訪ねました。

榎本艦隊旗艦開陽丸艦上にて



実際の気帆船の動力は貧弱で多大な燃料を要するため、通常航海では帆走し入港時や出港時、荒天時のみ蒸気機関で推進する中途半端で不効率だったため、まもなく強力な蒸気機関を搭載し帆走を廃止し、スクリュー推進のみの気走艦に代わりました。

余談になりますが、それでも気帆船が登場した時は、時代の最先端を行く船であり、ペリー艦隊は近代兵器で我が国を威嚇しようと4隻の蒸気船で来航した言われましたが、当時最新鋭の気帆船は米国でも数は揃わず、仕方なくペリー艦隊は気帆船2隻だけで残りは帆船でした。しかしペリーは艦隊の威容を見せつけるために、江戸湾を2隻の気帆船がそれぞれロープで帆船を惹航し、あたかも歌に詠われたように4隻の蒸気船であるかのようにデモストレーションを行いました。


古い時代と新しい時代の過渡期は、それまでのものと新しいものとを融合させますが、何時の時代にも経済効率が優れた新しい要素のみが発展し、古いものは効率が悪く時代遅れと解釈され消えゆく運命にありました。しかし短い狭間の時代に一瞬に光り輝いて消えて行ったものには、再び戻ることの無い過去のものに対する深い哀惜を感じることが多いのです。

薔薇の世界にも、薔薇の歴史の中でも短い狭間の時代に光り輝いた、クライミングローズの品種がいくつかありました。

冒頭のクライミングローズ「レディ・シルビア」は、薔薇の歴史の狭間で、一瞬の輝きを見せた薔薇のひとつです。
私が当初薔薇に抱いていたイメージは、戦後ピースから始まった尖った剣弁の巨大輪ハイブリット・ティの存在でした。これらのいわゆるハイブリットと呼ばれた薔薇の一群に人々たちは、それまでのなよなよとした花首の薔薇に、金属的とも言えるしっかりとした花首と花形に近代的なものを感じたからこそ、薔薇と言えばハイブリット・ティ全盛の時代が続き、薔薇に接していない私でもこれらの薔薇は容易にイメージ出来ました。

私がガーデニングを始めたきっかけは、高山植物に似たアメリカンブルーの発見で、このような花に取り囲まれて身近に自然の空間がつくれたら、がむしゃらに山に行必要がないなと想ったことでした。

そして自然風な庭を作ろうと模索していたとき、衝動的に手軽に手を出した2本の赤のクライマーが庭のイメージと合わないことがわかり、草花と違って薔薇は木であり寿命が長いため、衝動で手軽に手を出してはならない植物と認識し、本格的に自然風な雰囲気の薔薇を模索しました。

「レディ・シルビア」の選択は全く偶然でした。
実は薔薇仲間となった知人が、この薔薇を通販で購入したものの花形が自宅の他の薔薇と合わないため、無理やり譲られたものだったのです。
私も当時ロゼット形のオールドローズを志向していて、頂くことに乗り気では無かったのですが、せっかく譲られたものだし邪険にしてぞんざいに栽培しては申し訳ないので、熟慮の末我が家の一等地に植えました。

しかしこの偶然頂いたクライミングローズが、私の薔薇に対する眼を広く深く変えたのです。

同じ趣味の世界でも、犬の世界では柴犬とゴールデンの違いは一目瞭然ですが、薔薇を知らない時は、どの薔薇を見ても皆同じに見えてしまいます。しかし購入するつもりで真剣にたくさんの薔薇を眺めると、薔薇の微妙な違いに気が付き、その違いが犬と同じように系統の違いであることに気付き、更に同じ系統でも決して単純に類型化できない微妙な違いがあることにも気付きます。
そして更に薔薇を理解するため系統の歴史を辿って行くと、その薔薇の性質がどのように生まれて来たのか、実際に栽培する前に概略が良く判るようになりました。

頂いた「CL・レディ・シルビア」はまさに薔薇の世界での過渡期の気帆船でした。

「CL・レディ・シルビア」はオールドローズから産まれたばかりのラ・フランスから始まる初期のハイブリット・ティいわゆるアーリーハイブリット・ティの仲間の中でも比較的新しく20世紀初頭に誕生した薔薇で、クライマー種は1933年に英国のスティ-ブンスによって作出されたクライマーです。
私はチャイナローズの系統を曳くいかにも薔薇らしい高芯咲きの花形に憧れますが、いわゆるアーリーハイブリッドティの薔薇は、凛とした高芯咲きでありながらも、クラシックなエレガントな雰囲気も漂わせていました。

こうしたこともありその後クライマーについて学んだ結果として、クライマーの条件を私なりに掴んだような気がしました。

それらを挙げて見ると。
1)クライマーは長期間、少なくとも10年以上は家の顔となるため強健な薔薇であること

2)クライマーの花は見上げる高さでも存在感を発揮でき、また切り花として眼の前に飾っても凛とした美しさがあること。

3)クライマーは枝を長く伸ばし小枝を出すため、エネルギーは当然花の回数でなく花の量に向かいます。。1年に1回全パワーを発揮して、圧倒的なボリュームで咲くことがクライマーの美学だと想っているので、四季咲きに拘ることなく選択します。

スペインの美人という名のスパニッシュビューティもまた、その名の通リ華やかなクライマーとして第1級です。

クライミングローズはバラの中でも一番華やかです。仕立て方によって、花、葉、樹形など本来の真価を発揮し「頭上に花が降り注ぐ」光景が可能になるのです。クライミングローズすなわちクライマーはローズガーデンの花形ですが、バラの世界でもその歴史は新しく、19世紀末から20世紀初頭になって多くの品種が登場しました。

クライミングローズの歴史はノアゼットローズから始まりました。ノアゼットはその後、ティ-ローズと結合し、更にロサ・ムルチフローラやロサウイックライアナとの結合により数々のオールドクライマーが生まれました。

デプレ・ザ・フルール・ジョーヌ は1830年フランスのデプレが作出したノアゼットです。

オールドクライマーの品種はノアゼット、ブルボン、ティ-ローズ、初期のハイブリッドティ、など様々な系統がありますが、その後1930年に突然変異で産まれた四季咲きクライマー「ニュードン」の登場によって、これを親バラにしたモダンクライマーの世界が一気に広がり、更にピース以後のモダンハイブリット・ティの突然変異種のクライマーも加わり、現代の私達は幅広くクライミングローズを選択できるようになりました。

しかし歴史が浅いだけ世界的に見ても他のバラのグループと比べて種類は少なく、優れた品種は限られています。またそれぞれの親薔薇の系統によって伸びる長さは異なります。オールドローズの系統を強く引くクライマーは大型になりますが、モダンハイブリット・ティの突然変異種(枝変り種)はピラーローズと言って高さは2m程度でしょう。
我が国は高温多湿の気候のため樹形のサイズは作出国のサイズに比べて約5割増ぐらいに伸びます。しかし伸びたら切れば良いので、サイズの短さは気になりますが長さは栽培作業でどうにでもなります。

長く枝を伸ばす薔薇として、クライミングローズの他、ランブラーローズが有ります。

ランブラーローズとは、我が国原産のノイバラ(ロサ・ムルチコーレ)とテリハノイバラ(ロサ・ウイックライアーナ)を基本に作出された薔薇で、クライミングローズが中輪以上の花形で、返り咲き、四季咲きの性質を持つのに反し、ランブラーローズは小輪が集まった房咲きで枝が細く密集し一期咲きの薔薇ですが、枝が細く葉も小さいため柔らかな美しい樹形を作ります。しかし生命力が旺盛でランブラーの名のごとく「気まま宛もなく伸びる」薔薇です。

私を薔薇の虜にしたのはランブラーローズの「ポールズ・ヒマラヤン・ムスク」です。

柔らかな樹形の薔薇が欲しくて英国の薔薇図鑑で薔薇を探していた時、ヒマラヤの名が付くこの薔薇の写真を見たことと、実際に英国のガーデンで桜に似た花が咲くこの薔薇を見て、直ぐ欲しくなり輸入しました。品種が無かったり、初期栽培に水のやりすぎで枯らしてしまったりして、最初の花を見ることができたのは注文してから3年後の事でした。
ブログの表紙の薔薇は、上の画像と同時に撮影した時のものです。世間は広く他にも植えていた人はおられるかと想いますが、自分では我が家のこのヒマラヤン・ムスクが我が国で最初のヒマラヤン・ムスクの1本だと想っています。

ヒマラヤン・ムスクは今でも健在で庭の空間を覆っています。


私は洋風志向一辺倒でなく、薔薇を始める時、庭いっぱいに洋花の薔薇に囲まれたら自分にとって安らぎを与えられる空間になるだろうかという微かな不安がありました。
実はガーデニングを始めた時、それまで大した関心が無かった京都の寺の庭巡りをしたことがあり、光悦寺垣や錆びた鞍馬石などに美を感じたことがありました。

薔薇に包まれた空間はいわゆる秘密の花園です。
私の身体に古来沁みついているDNAが、洋花の空間に耐えられるだろうかとう疑問が湧いていました。そんな時に本能的に桜に似たヒマラヤン・ムスクと出会い、日本原産のノイバラから改良されたランブラーローズで庭の空間を囲むことによって、私のDNAが休まる空間ができ、チャイナローズと組み合わせることによって西洋と東洋の美の融合が図れたような気がしました。

私にとって自然の空間とは、緑の空間だったら何でも良いというわけでなく、日本古来の万葉人や室町人や江戸人たちが共感していた自然の要素を少しでも取り入れることが、私が欲しかった自然の庭でした。ヒマラヤン・ムスクは全てを解決してくれました。
薔薇の花期は限られ大半が緑の葉だけが頼りになる季節が続きます。ヒマラヤン・ムスクを初めとするランブラーローズやオールドローズは緑が美しく、私の薔薇に対する杞憂は吹き飛んでしまいました。

ムスクローズとは、ヒマラヤ西部山麓原産のロサ・モスカータ基本に20世紀初頭英国のポールが作出した薔薇です。
ロサ・モスカータは麝香の香りを持つ原種で、麝香とはヒマラヤ山麓に生息する麝香鹿の陰嚢から採集する香料で、我が国でもお香や線香の材料として珍重されて来ました。
ムスクローズとは香りの優れた薔薇の意味で、ムスクはマスカット、マスクメロンなど特に香りの優れた果物に名づけられてきました。ヒマラヤン・ムスクはムスクの名が付けられていますが、ほとんど香りはありません。


世界の赤薔薇のクライマーを探して辿り着いたギネーです。

クライミングローズの選択はかなり難しいものになります。西欧世界で美を象徴する花として薔薇が5000年の歴史を持ち理由は、香水づくりの側面もありますが、薔薇栽培は作業の形としては園芸作業になりますが、好みの薔薇を選択する美学の範疇でもあります。


薔薇を愛するお宅は、家の顔として長い間色々薔薇を見て、家の一番目立つ場所に仕立てます。
しかしその薔薇を見て自分が気に入ったからといって、そのお宅が遠く離れていたり、目立つような場所に植えなければ問題はありませんが、マネして家の顔として植えることはマナーに反します。
ピエール・ドゥ・ロンサールやアイスバーグは余りにもポピユラーになっているためその限りではありませんが、クライミングローズは家の顔、その人の美意識の表現になることと、一度植えると10年以上は変えられないため、自分でとことん気に入った薔薇を探して納得するのが良いと想います。

多くの薔薇フアンと同じく、私が一番楽しかったのはどのような薔薇を植えようか、さまざま調べていた時でした。
特に男性は薔薇といえば赤薔薇に惹かれます。私も同じで、品種も分からず初めて植えた2本のクライマーは赤薔薇でした。植えて3年後大きく枝を広げた巨大輪の赤薔薇を前にして、私が望んだ薔薇とイメージが異なることが分かりました。当時、我が国では、赤薔薇のクライミングローズは巨大輪のハイブリット・ティの突然変異種のクライマーしかなく、それらはハイブリット・ティの枝変りのクライマーのため、枝は太く風にしなやかに揺れる宿根草とは合いませんでした。
そこで英国の2,3冊の薔薇図鑑で私がイメージする赤薔薇を探し英国から手に入れました。それらが手に入れた赤のクライマーの画像です。

薔薇好きな人は薔薇の選択に対して費用を惜しまず図鑑を手元に揃え、また新たに発売される薔薇雑誌は買い求めて新しい情報を手に入れます。そして花の季節には薔薇園に出かけて、花を見て自宅の植え場所を考慮しながら薔薇を選択します。

60歳直前で登山を再開した時も同じでした。暇さえあれば専門店を覗き、カタログを熟読し手に取って新しい道具を調べます。そうして道具を漁って山に行き試しいることが、歳を重ねても高校時代と全く同じ少年の心を失っていないことが分かり、嬉しかった思い出がありました。新しく趣味を開始して気分が高揚している時が、神様が与えてくれた至福の時だと感じました。



エトワール・ドゥ・オランドも優秀な赤薔薇のクライマーでした。オランダの星という意味でしょうか、壮大な雰囲気のクライマーでしたが、風通しが悪い場所のせいか短命に終わりました。

更に発色の鮮やかなダブリンベイにも手を出しました。ダブリンベイはクライマー仕立てでなく鉢で栽培しました。

赤薔薇以外にも、いろいろなクライマーを楽しみました。それぞれの品種を紹介するはキリが無いので赤のクライマーだけに留めます。


場所がなくて陽当たりの悪いアーチの側面に仕立てて短命に終わってしまったフラウ・カール・ドルシュキやレディ・ヒリンドンなども栽培しました。歴史ある素晴らしいクライミングローズだっただけに、もっと広い場所で伸び伸びと仕立ててあげれば良かったと後悔しています。画像の白薔薇はフラウ・カール・ドルシュキです。

赤薔薇では、クライマーとは別にイングリッシュローズの大型品種の赤薔薇も楽しみました。トラディスカント、lD・ブレイスウエイト、ザ・ダークレディ、フォールスタッフなどはそれぞれ個性があり、クライマー以上に楽しませてくれた想い出の薔薇です。

今回植えるコルデスのクリスティアーナ

今春購入した京成バラ園のコルデスのクリスティアーナの新苗を7号鉢で育成していましたが、伸びて来たので地植えすることにしました。
新苗には通常2種類あり、パテント付の薔薇は株元がやや太くロングポットに植えられてノンパテントバラに比べると高価ですが、ノンパテントの新苗はポット植えで株元が細く安価です。これは台木の年数にも関係していると想われます。新苗を購入して直ぐ7号角鉢に植え替えて育成しますが、秋まで育成するとその成長のスピードはパテント薔薇の方が2倍の大きさになります。ノンパテントでも大きくなる薔薇もありますが、概して例外です。
7号鉢に植え替えて秋まで水やりや施肥など手間をかけるならパテントバラの大苗を購入することが手短ですが、育成も楽しいのでそれぞれ選択します。

コルデスはアイスバーグを作出したドイツを代表する薔薇企業ですが、かってロココを作出した同じドイツのタンタウと共に堅実な薔薇企業のイメージがあります。

クリスティアーナは大型のシュラブローズですが、2,3m伸ばせば十分で、周りの薔薇を考えると淡いピンクが合いそうなので、この薔薇に決めました。花はカップ形です。同じカップのイングリッシュローズのコンスタンススプレイも大好きな薔薇の一つですが、色がやや濃い目のピンクで別な場所に鉢で植えてあるので、淡いカップの薔薇を選択しました。クリスティアーナが私が挙げたクライマーの条件に適合するかどうか分かりませんが、3年後が楽しみです。

かってピータビールズは言っていました。ローズガーデンを調和させるならピンクとホワイトを60%以上にしなさいと。その代わりピーターはオレンジ系の差し色の使い方がうまく、良くルイーズ・クレメンツやレイモンド・カルバーなどオレンジ系の小型シュラブを使用していました。

我が家の庭は狭いため、薔薇を地植えするためには前作業が多く大変です。クリスティアーナの植え場所の上には、パーゴラにレッドキャスケードを垂らすため、鉢置きに使用しているハンヒングを移動しなければなりません。

パーゴラの片方の柱にくくりつけた千葉の漁師町で購入した本物のタコ壺をの結束を、もう片方の柱にハンギングのアームを取り付けるために移動しました。その上で久々に充電ドライバーを使用して、ハンギングのアームを取り外し移動しました。これで前作業は完了です。

次は地植えの穴掘りです。大型シュラブの植穴は最低径40㎝深さ40㎝の植穴が必要です。我が家では場所が狭いので小型の薔薇はそこまで掘っていません。
また水はけが良くなるように盛り土で植えるため、深さ40㎝掘れば植穴の深さは50㎝近くなります。
4月に購入した新苗がこんなに長くなり、株元の太さも大苗と変わらなくなりました。ポット植えのノンパテントの新苗を々7号角鉢で育成していましたが、高さはこの半分、株元の太さも半分くらいです。価格はパテントバラ新苗の半分以下だったので止むを得ませんです。

前作業で、基本的な土壌に赤玉土小粒、完熟腐葉土か腐葉土を用意します。植穴の肥料、薬品についてその都度解説します。また掘った庭土はほとんど入れ替えるので土を捨てるためのタライなどを用意します。

狭い場所で植穴を掘るのは辛い作業です。大昔庭に全面ウッドデッキを張った時も、フェンスブロック埋め込みと、デッキの土台石を掘るために穴ばかり掘っていました。
今回も畑の土起こしで使用する頑丈なスコップと大型の鍛造の移植ごてを交互に使用して、穴を掘り上げました。パーゴラの柱を埋め込んでいるため、やっとのことでサイズは横40㎝、縦60㎝、深さ50㎝の穴を掘り、残土は庭の奥の片隅に捨てました。ここは先日まで茗荷がたくさん採れたスペースです。

穴の底に水はけのために掘り起こした際出て来た石を敷きました。本来は保存してある壊れた鉢のカケラなど大量に入れるのですが、手持ちがなくなったためかなり不足気味ですが、仕方がありません。

赤玉土小粒7、完熟腐葉土3の割合で穴に入れ中でブレンドします。植穴が大きいため赤玉土14リッター全てを植穴に入れます。次に完熟腐葉土を目分量で4,5㍑穴に入れます。

近年ホームセンターで堆肥がさまざま販売されています。畑で使用するものと、庭の地植えやマルチングで使用するのと、選択は自ら判断します。牛糞の種類はさまざまありますが、発酵の足りないものや、安価ですが牛糞自体の品質に問題がありそうなものは畑で使用します。

畑は借り物であり何よりもコスパを優先するからです。近年堆肥もバーク堆肥が主流ですが、どんなバークを原料としているか、発酵期間をどのくらい費やしているかで、品質が異なります。牛糞堆肥もバーク堆肥も、ピートモスと同じように、乾燥して入り時はサラサラしていますが、水を含んだら固まってしまうのもあります。広い畑だったら多少固くなっても、半年で土起こしを行うため腐植物だったら問題はありませんが、庭植えの穴は、薔薇が生きている限り土起こしは不可能なため、良質のバーク堆肥か完熟腐葉土か腐葉土を使用します。あらかじめ大型トレイやタライで土をブレンドして植穴に入れれば良いのですが、狭い場所の作業のため穴の中でブレンドします。

なぜ赤玉土と腐葉土や堆肥など腐植物をブレンドした土壌を使用するのか、長くなるため項を改めて解説します。

完熟腐葉土を4,5リットルを穴に入れます。そしてミネラル分を加えるためにミリオンを穴に入れ、一緒にブレンドします。ミリオンは高価なため私は通販で大袋を購入しています。

まだ植穴は深いため、赤玉土小粒1袋14リットルと完熟腐葉土5リットルが穴に入れ込み、再度ミリオンを追加します。これで植穴には合計38リットルの用土が混入されたことになります。この38リットルの土壌の空間が当座の薔薇の住処になりますが、やがては根を下や横に伸ばして根を張ります。
本来、木は地植えの場合根の幅だけ枝を伸ばすと言われています。薔薇は縦に枝を伸ばすためその限りではありませんが、ボランティアで学校に薔薇を植えていますが、細長い敷地に植えたピエールを移設する時、抜いてみたら主根が横に3m以上伸びていました。

用土を入れ終わりいよいよ苗を植える前に、コガネムシの幼虫対策でダイアジノンを土壌にブレンドします。通常家庭用は左ですが、薔薇の量が多いため右の業務用を使用しています。ダイアジノンを豊富に使用するようになってから、コガネムシの幼虫の不安は無くなりました。でも畑で業務用を使用しても大したスペースに播けません。農家さんは野菜作りの肥料や薬品のコストが高いので大変だと想います。高温多湿の気候の我が国は、作物の成長が早く収量も多い代わりに害虫天国のように害虫が住みやすい環境です。家庭菜園は害虫の被害の無い時期しか作らなければ無農薬は常識ですが、生産農家は一年中畑を稼働させないと成り立たないため、害虫対策は必須です。

ある程度土壌を盛ったら、いよいよ薔薇の植える高さを決めます。水はけを良くするために地面から広い場所では10㎝、狭い場所では7~8㎝盛土して植え込みます。盛土の上面に薔薇の株元の継芽が土に埋まらないよう高さを調整して植穴に薔薇を置きます。高さが決まったら鉢から薔薇苗を取り出し植え面に置きます。

次に赤玉土と完熟腐葉土をブレンドした土壌を根の周りに被せていきます。

ある程度根に土壌を被せたら、再度土壌にコガネムシの幼虫対策にダイアジノンを撒き土壌と混ぜ合わせます。そうしてすぐに効果が出る様に緩効性のバラの肥料を根の周りに施します。コーティングされているため根に触れても問題はありません。
最期にブレンド土を土壌の表面にかけて、ある程度上から軽く押して安定させます。もし赤玉土が無くなったら、掘り起こした残土でも差し遣いありません。多分これで50リットル近い土壌が植穴に入れられたことになります。

最後に完熟腐葉土で植穴の表面にマルチングを行います。マルチングの役割は色々ありますが、植えた直後のマルチングは盛り土で植えた土壌が、水やりの際、穴の外に流れないように止める意味があります。草花を植える際も必ずマルチングを行い、土止めを行っています。

最後にIB肥料をマルチの上に施肥します。

たっぷりと水やりを行います。マルチの上にIB肥料を施肥するのは、溶け具合が分かるからです。

植え付け完了です。パーゴラへの障害物を移動したため、薔薇は安心して登って行けます。

秋の花

我が家の薔薇は、真夏にも自然花を咲かせ、9月初の一斉剪定を行っていないので、秋の花のピークは11月下旬から12月初旬になり、今が一番薔薇の花が咲いていない時期です。

アメジストセージ

コスモスとジニア

ジニア、もうすぐパンジーに植え替えます。

秋遅く元気なトレニア、ダリア

イングリッシュローズのジェームズLオースチン とルデュテ

アイスバーグと河本薔薇園のロープアラフランセーズ

イングリッシュローズのアレクサンドラ・オブ・ケントと畑から採集したカラスウリです。