薔薇のエッセイ15、うれしい芽吹き直前の老木たち

2月末から寒波が続き、強風と雨天が続いていますが、晴れると気温が上昇するため、例年より早く春が近づいているような気がします。

20年前、薔薇の芽吹きはお彼岸過ぎでしたが、だんだん早くなり昨年は3月半ばと記憶していますが、今年はさらに早まって1週間後には一斉芽吹きが始まるような気がします。
私は薔薇の芽吹きが大好きです。薔薇の芽吹きはチューリップの開花と同じように、薔薇自身のパワーを一気に噴き出すために、我が家の庭が突然パワースポットに変身するように感じます。
もう一つ薔薇の芽吹きは、薔薇の生命力を引き出す剪定結果の通信簿というか成績表になるのです。薔薇の枝が衰弱していれば芽吹きは行われず、芽が吹くことは花が咲くことを約束する行為でもあるのです。

私が本格的に薔薇栽培を始めたのは1994年~95年頃からで既に30年経ちました。
古いアルバムを見ると96年には既にイングリッシュローズとオールドローズが20本程度咲いていました。この後2000年頃まで急速にコレクションを増やし続けて来ましたが、この当時から今でも生き残って毎年咲き続けている薔薇が7種あります。

数えたことも無いけれどこの30年間で私が栽培した薔薇を振り返ってみると、ミニバラを除いてオールドローズ、各ブランドのシュラブローズ、クライマー、ランブラー、フロリバンダなど約500本は栽培してきたと想います。30年近い間、寿命を終えた後継の薔薇を次から次へと購入して行き、それらの薔薇が生老病死を繰り返し、眼の前から消えて行きましたが、それでも7種の薔薇が30年近く元気に生き続けてくれています。



1993年秋から愚犬を飼い始めましたが、ガーデニングはその前年から本格的に始め、94、95年から薔薇が加わりました。残念ながら愚犬は病気持ちだったため10歳直前で亡くなりましたが、亡くなった後、毎年撮り続けた愚犬と薔薇の画像を見比べていると、四季咲き薔薇の寿命は大型犬と同じだなと想いました。

気ままな大型犬も3歳になると落ち着いてきて、5歳頃が毛並みも光り輝いていますが、6~7歳頃になると鼻の頭が白くなり、かっての精悍さが無くなり、8歳から10歳になると老犬の感じになり闘争心も無くなります。そして10歳ぐらいから老衰を迎えます。

これを薔薇に置き換えて見ると薔薇は3年目に、当初思い描いていたイメージ通りの大きさになり、5年目が花や葉の量がピークになり美しさの絶頂期になります。6~7年目になると株元からの伸びていた枝も枯れて来るものもあり、本数が少なくなったことに比例して枝も少なくなり、従って花量も減ってきます。この頃が抵抗力が失われカミキリムシやコガネムシの虫害に合うと復元力が低下し枯れる確率が高くなります。8年目を越える頃には新しい枝が発生しにくくなるため木のボリュームが最盛期の5割近くなり、10年以上経過すると満足な樹形は維持しなくなります。

ざっとした私個人の感覚の薔薇の寿命ですが、四季咲きの薔薇の鉢植えでは約10年のプラスマイナス2年、庭植えでは2割増、一季咲きの薔薇は鉢植えではほぼ同じ10年、庭植えでは5割増しぐらいでしょうか。もちろんこの感覚は10号鉢以上、団粒構造の土譲での経験ですから、条件が悪いとより短くなるでしょう。

以上は都市の住宅街の陽当たりと風通しが不十分な私の庭の経験ですが、これは陽当たりや風通しが十分な薔薇園のような広い敷地や、広い個人の庭では寿命はこれ限りではありません。

ということで多くの薔薇が10年経たずして枯れて行ってしまった中で30年近く、毎年花を咲かせてくれる老木は、私にとって古い同志のようなもので、今春のこの時期も芽吹きまじかを確認するのは、私にとっては無性の喜びなのです。

一早く春を感じるため芽出し球根花を植えました。

ラナンキュラスです。寒さにさらすと1か月以上は開花を続けます。

アネモネとハナカンザシ、近年のハナカンザシは弱い霜に当たっても平気になりました。

チューリップが成長してきました。

30年前はデージーは軒下に置かないとだめでしたが、今は霜や雪でも平気です。

クリスマスローズは3鉢ありますが、植え替えたら2鉢は花が咲きませんでした。

短い薔薇ほど芽出しは早いです。

全ての薔薇が芽が膨らんできました。

冬の間半分は日陰の庭も、太陽が向きを変え陽が当たってきました。

2月の終わりから、冬の間陽が当たらない主庭の7割に陽が当たってきました。シラーがどんどん伸びてきました。

老木のイングリッシュローズ・エイブラハム・ダービー

イングリッシュローズのエイブラハム・ダービーは29年目の老木です。12号コンテナで栽培してきましたが、今年も元気に芽を出してきました。30歳と言えば人間では100歳に該当します。エイブラハム・ダービーとは英国の製鉄業者で産業革命の創始者にちなんで名づけられました。
薔薇のイブラハム・ダービーはアプリコット・ピンクの大輪ロゼットの典型的なイングリッシュローズです。極めて存在感溢れる薔薇で、最初から最も気に入った薔薇の一つです。デビット・オーチン社では廃盤になっています。

緑の中での存在感は抜群です。香りはフルーツ香です。

老木のイングリッシュローズ・セント・セシリア

イングリッシュローズのセント・セシリアは完璧なディープカップの美しい薔薇で、セント・セシリアとは音楽の守護神の意味です。香りはミルラ香です。イングリッシュローズのミルラ香の薔薇は皆魅力的な品種が揃っています。雰囲気は極めて控えめで自己主張が少ない薔薇ですが、いったんその美しさに気付くと虜になってしまいます。

実はセント・セシリアを購入した時、アプリコットの派手なエブリンやガートルド・ジェキールの薔薇色に眼が行って、セント・セシリアはこの2種の薔薇の影に隠れて後ろ側の目立たない場所に配置していました。これらは12号の鉢植えでしたが、セント・セシリアは陰に隠れてあまり花を鑑賞したことはありませんでした。
しかしエブリンに続いてガートルド・ジェキールも枯れたため、鉢を前面に出して来てみたら、セント・セシリアがこんなに美しい薔薇と気が付きませんでした。

ウッドデッキを壊して鉢植えの薔薇を全て庭植えにする時、セント・セシリアはリビングからすぐ見える1等地に植えました。以来半生を邪険にしていたにもかかわらず、カミキリムシの虫害にも耐えて、毎年美しい花を咲かせてくれます。

他の薔薇に比べるとセント・セシリアの芽吹きはやや遅いです。この薔薇もデビット・オースチン社では廃盤になっています。

完璧なディ-プカップとはこの薔薇のことを言います。

老木のオールドローズ・オールド・ブラッシュ・チャイナ

オールド・ブラッシュ。チャイナも30年近く毎年花を繰り返します。オールドブラッシュは英国人が中国から最初に持ち込んだオリジナルな薔薇で、薔薇の世界に四季咲き、剣弁更新咲き、ティーの香りをもたらした歴史的な品種です。中国では昔から庚申バラ或いは月季花と呼ばれる四季咲きの薔薇がありましたが、英国人のパーソンが中国から英国に持ち込んでためパーソンズ・ピンク・チャイナという名で呼ばれた歴史的品種です。
この薔薇を見ていると4月から12月まで毎月咲く強烈な四季咲き遺伝子を持ちますが、この薔薇からモダンローズの四季咲き品種やハイブリット・ティが生まれました。

老木のランブラーローズ・ポールズ・ヒマラヤンムスク

ポールズ・ヒマラヤンムスクは最初は地植えで、その後鉢植えに変更し、ウッドデッキを壊した後地植えに変更しました。鉢植えではやはりボリュームは3分の1程度になりましたが、ランブラーローズの場合は庭植えの方が効果を発揮しますが、年4~5回剪定が必要なため、面倒な人には鉢植えの方が良いと想いますが、鉢植えでも15号が必要です。

何回も刈り込んで、それほど繁茂させませんでした。

老木のランブラーローズ・アルベルティ-ン

フランスのバルビエは3種の名高いランブラーを作出しました。アルビレック・バルビエとアルベルティーンそしてフランソワ・ジユランビルです。3種の中で特徴があるのはアルベリック・バルビエとアルベルティーンです。両種ともランブラーローズに珍しく大輪でバルビエは白い花と濃緑の葉のコントラストが見事で上品な雰囲気をつくります。アルベルティーンもアプリコットピンクの花は大輪で見ごたえがあります。この薔薇の素晴らしいのは1年目で茎色と赤い大きなトゲと葉がとてもエキゾチックな配色でこれに似た植物の配色は日本にはありません。しかし2年目からトゲの色も無色になり平凡になります。

最初の2年は15号の大型鉢に植えていましたが、場所を移して地植えにしました。非常に強靭なランブラーでカミキリムシに何回も食害されオガクズを排出しても生き延びてきました。

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枝が突っ張って伸びるため、ワイヤーでの誘引が容易です。

老木、イングリッシュローズ・ルドゥーテ

イングリッシュローズのルデューテですが、もう20年前でしょうかデビット・オースチン社では廃蕃になっています。ルデゥーテの名の薔薇は他にギョーのプリPJルデゥーテがあります。イングリッシュローズのルデゥーテがメアリーローズの変種で非常に強健な薔薇ですが、何で廃蕃になったのか定かではありません。この薔薇も28年経ちましたが、株元にカミキリムシに大穴を開けられているのに耐えて生き残っています。

以前に比べると枝の勢いは半減しましたが、今年も元気に芽吹生き始めています。

この薔薇は連続開花と言っても良いくらい夏まで絶えず咲き続けます。

老木のランブラローズ・ドロシーパーキンス

今年の冬もかなり思い切って枝を切りました。切っても切っても株元から新しい枝が出て来ます。ドロシーも27年目になりますが、我が家では一番強靭な薔薇のような気がします。

すでに芽吹きが始まっています。

カラーはひつこいですが、薔薇のシーズンの最後に咲くため、この薔薇のお陰で我が家は6月まで薔薇シーズンとなります。