薔薇と自然のエッセイ、真夏の薔薇剪定

毎年夏になると山に出かけ、大自然のど真ん中でその英気を浴びますが、今年は入退院を繰り替えしているので、大自然についてブログを書けません。
そして今の時期の薔薇は変わり映えしないので記事を書く気にならず、自然と更新が減ってきます。

そうかといって今私が直面している病気の事を、こまごま書いても健康な人は他人事で迷惑な情報になるでしょう。薔薇と病気、薔薇には薔薇自身の病気と密接な関係があり、病気にに無縁な薔薇はランブラーローズ以外にはないでしょうが、薔薇とその病気の対処は薔薇にとって死活問題のため、薔薇ファンにとって有効な情報になるでしょうが、薔薇と人間の病気は結びつきません。逆に言うと薔薇は日々の作業が大変なため、ある一定以上の本数を栽培している人にとって、薔薇の手入れをするために自身の健康は絶対条件なのです。

4年前長期入院している時、薔薇の事が心配でした。しかし季節が冬で薔薇たちは皆眠っている時期なので気が楽でした。退院後薔薇の手入れが私にとって最大のリハビリでした。

この薔薇の今の季節の光景は、それぞれの鉢の薔薇がそれぞれの歴史を秘めているため、私にとって愛しさに満ちた花壇と想っていますが、花栽培に無関係な人が見たら、雑然としたつまらない光景としか見えないでしょう。

コスパ、タイパという言葉が流行っています。コスパとはコストパフォーマンスとはかけた費用に対してどれだけ対価や満足感をえられたかという考え方で、タイパとはタイムパフォーマンスの略語でかけた時間に対してどれだけ満足感を得られたかという考え方です。

両方とも経済効率から人が行う行為を判断する考え方で、現在の社会を取り巻く経済効率優先思想を端的に表した用語で、コスパ、タイパに長けたひとが尊敬する社会から、広まった用語です。

コスパ、タイパの思想は残念ながら、我が国の歴史の中に見られず、わずかに信長や、明治維新の新政府側に見られるだけで、2000年の間日本の人々はコスパ、タイパとは別な思想に生きながらも、西欧の合理思想とは別な基準で社会を発展させてきました。

小型に仕立てた薔薇は早めに夏剪定を行います。シュラブローズの夏剪定はルールは無く難しいのですが、3分の1から半分に剪定しますが、冬と異なって成長期なので葉はなるべく残します。花栽培が無縁な人が見たら、花も咲いていない薔薇鉢はコスパ、タイパそれぞれ0と想うでしょう。

薔薇はコスパ、タイパの観点から考えると、あらゆるガーデンニング植物の中で最低に当たる植物です。薔薇は樹木でありながら庭木と異なって放置したら必ず死ぬでしょう。また薔薇は害虫にとって特に美味しい植物なのでしょう。薔薇の寿命は鉢植えで10年プラスマイナス3年、地植えで20年から30年と比較的寿命が短い植物です。
また薔薇を始めた当時同じく大型犬を飼い始めたので、犬と比べながら薔薇を眺めていたので薔薇の寿命が良く解りました。

大型犬は3歳でようやく完成し5歳でそのピークを迎えどの犬でも名犬になります。しかし7歳くらいから鼻が白くなり、若き日の精悍さが無くなり、9歳になると足腰が弱くなり中には少し長生きする犬もありますが大体10歳で寿命を迎えます。

これをバラの大苗に当てはめると3年でイメージ通りの大きさに伸び、5年目でその美しさのピークを迎えます。6~7年目に今まで花を旺盛に付けていた地面から登ていた3本の内1本が枯れこの1年後にもう1本が枯れ最後は1本になります。枝が1本になったらそれは花数が3分の1になることで、こうした薔薇は、カミキリムシやコガネムシの虫害を受けて10年程度で枯れてしまうでしょう。

薔薇の大苗は高価です。輸入苗やブランド苗は5,000円程度ですが、これは30年前の1,25倍で、長い間デフレが続いてきたため最近の30年前の物価水準から1,2倍になった現在の物価水準に適合しています。

ここに並べている薔薇は皆コスパに優れた薔薇たちです。それぞれ30年選手で、薔薇の平均寿命を遥かに超えて、植え替えもせず、毎年満開の姿を見せてくれます。

薔薇のブランド大苗は5,000円と物凄く高いと想われますが、接ぎ木、育成、掘り上げ、鉢に植え替え、鉢のコスト、養生、出荷、物流などを考えたら、薔薇生産者、卸、小売りなどそれぞれの段階は薄利で、植物の価値としては決して高く無いと想います。

私は長い間、薔薇栽培と登山と旅を続けていますが、それぞれ実施するにはコストが高く、登山や旅に気が向いている時は、薔薇のブランド苗は高価なため補充は控えめでした。

先に触れたように、薔薇の最盛期は5年目のため5年目のブランド苗を揃えれば鮮やかなローズガーデンが作れます。薔薇庭が寂しくなるのは、毎年新しいブランド苗を庭に植え込んでいないからです。登山や旅に気が向いている時はこんな理屈も疎かにして毎年、ブランド苗を補充しませんでした。毎年デルバールやイングリッシュローズを3,4本補充するだけで、鮮やかな薔薇庭ができることが分かっているのに、何となく1鉢4,000円を惜しんで来ました。

もう私も歳で新しい薔薇を庭に植える気はありませんが、そんな時改めて考えたみたら、登山も鉄道利用で山小屋や下山の旅館を楽しむと軽く50,000円以上はかかり、旅はもっとかかります。そうすると山に行くだけで、現在のブランド苗が5鉢買えることになり、5,000円のブランド苗は決して高くないことが分かります。要は意欲の比較だけです。

歳を取ると新しい薔薇にだんだんコストをかけなくなります。大苗より新苗を選択します。長い間薔薇栽培を行っているとブランド苗とノンブランドの新苗の違いが分かってきます。新苗は業者によって質が大幅に違って来ます。要はどんな台木を使っているのか、歴然と差がでます。新苗から大苗は鉢植えで理屈上なるように感じますが、業者のように畑で養生すれば大苗になりますが、鉢の大きさを変えても中々大苗のパワーが出ません。改めて業者の大苗は高いですが、それなりの価値があることが分かりました。



それにしても国産のノイバラの台木のパワーの無さにがっかりです。昔のピータービールズのオールルドローズのラクサの台木のパワーは物凄いものがありました。同じオールドローズを比較しても、その成長のパワーと樹のボリュームは、ノイバラとラクサの台木のパワーの相違は軽四輪とアメ車ほどの違いがあるようにかんじました。

上の画像は30数年前、薔薇を始めた時に手に入れたピーターのポールズ・ヒマラヤンムスクとアルベルティーンです。切っても切っても繁茂するその旺盛なパワーは時に煩わしく時に頼もしく感じます。薔薇のパワーを楽しむなど、経済効率社会の暮らしから画像のようにはみ出てしまうのでしょう。

近所に建てられた若い人の新しい家は、庭木を最小限植えて、皆2台のカーポートを持ち、庭にコンクリートを敷き詰めて雑草が生えないようにしています。コンクリートの上には鉢をいくつか並べ季節の草花を並べています。共稼ぎが主体のため、余計な場所にコストをかけたくないのでしょう。

薔薇はますますコスパ、タイパ社会からはみ出てしまいます。