25薔薇友訪問記26、那須、森田さんの庭

昔の会社の山仲間だった森田さんとは長い間付き合いはしていませんでした。10年ほど前、昔の会社の同僚と飲み会を行った際、話の中で私が本格的な登山を続けていることと、リタイヤ後趣味の薔薇の仕事をしていることを話したら、その後しばらくして森田さんから那須の山荘を薔薇庭にしたいとのことで教えてくれないかということでした。

私も当時大学のクラブのOB会の副代表をやっていて学生やOB仲間との山行も忙しい時期でした。また長い間薔薇教室を行っていたので薔薇についての自分の考え方を話すことに飽きていたため那須に行く暇と意欲もありませんでした。しかし飲み会で長い間交流していなかった同期の強い勧めもあり、彼と共にとりあえず様子を見に那須の森田さんの山荘に出かけました。
登山と薔薇は趣味の世界です。趣味の世界は人それぞれいろいろ考え方があり、教えると言うことは自分の考え方を伝えることを意味するので、かなり億劫な作業です。

クラブで学生に登山を教えることは、クラブの70年近い伝統で集大成した思想があり、新人合宿で山行を共にしながら伝えれば良い事です。また教室の形で薔薇の概念や栽培方法、薔薇庭づくりの考え方など、伝えることは容易で、私の考え方が参考になると想われたら継続するし、無駄だと想ったら来なくなるため気が楽です。

しかし、薔薇を開始して20数年位までは自分が得たものを人に伝えたく、リタイヤ後非常勤で薔薇の仕事に携わったのもこのためですが、その意欲も遠に亡くなりました。そんな飽きた頃、森田さんから話があったのです。


初めて那須の山荘に行った翌日、ロープウエイの終点で那須茶臼岳を眺めたら急に登りたくなりました。那須は何回か来ていますがこれほど有名な山なのに、昔ロープウエイの無い頃はどこのルートがメインだったのか気になってきました。またこれほどの名山は古来修験の山で発展している筈なのにその形跡もありません。深田久弥の日本百名山を見てみたら、深田久弥は茶臼岳の概念だけで、自身も登っていないらしく登路にも触れていません。
そんなことが気になり、昔の会社の山仲間だった長浜兄を誘って、森田さんの山荘をベースにして那須山塊のいろいろな登路の歴史を探って見たくなりました。那須山塊は登山としては深い魅力はありませんが、那須の与一以来、那須には歴史があり、また戊辰戦争では那須山塊で山岳戦が繰り広げられそれを探ることも魅力でした。

薔薇庭のアドバイスは億劫でしたが、那須山塊の歴史に触れられる強い好奇心が加わったため、私の心に森田さんの山荘を訪れる強い動機が芽生えたのです。

薔薇庭は個人の美意識はては宇宙観の表現であると想っています。薔薇庭づくりには薔薇の品種の嗜好、レイアウト、主役と脇役薔薇の選定、DIY技術、サポート用具と誘引技術などなど多岐にわたります。私は当初お手伝いをしましたが後半は体を壊した後、途中から森田さんはピッチを上げ短期間に見事シュラブローズ主体の薔薇庭の基本を成し遂げました。


ヒマラヤン・ムスクの大型のパーゴラが森田さんのローズガーデン随一のフォーカルポイントになりました。公共や商業用のローズガーデンは園内で完結しますが
個人住宅のローズガーデンは通りから見る光景が、極めて大事だと想っています。

通りから庭を眺めるポイントが完成しました。庭の奥行きと幅を最も感じさせるフォーカルポイントです。

薔薇庭を作る以前からの薔薇の光景です。このコーナーも反対側の薔薇庭のフォーカルポイントのお陰で俄然相乗効果が上がりました。

ゲートの左右の薔薇も直植えにしたおかげで樹勢が増してきました。ピエールはやがてゲートを覆うでしょう。

敷地にローズアベニューを設置やサークルを設置することは薔薇庭の最も贅沢な行為です。ここも時間がたてば益々魅力が増すはずです。

薔薇庭と薔薇畑とは概念が異なります。丈が同じような薔薇を並べただけではそれは薔薇畑でローズガーデンにはなりません。ローズガーデンは空間演出が基本条件で
木立性の薔薇を等間隔で植えても薔薇畑になってしまいます。空間演出にはランブラーローズやシュラブローズの力を借りないとローズガーデンにはならないでしょう。

私のブログの表紙は27年前に植えたピーターのポールズ・ヒマラヤン・ムスクを使用しています。多分このヒマラヤン・ムスクが日本で一番早く植えたものと想っています。

スベニール・ドクター・ジャマインとシティ・オブ・ヨークです。奥のフェンスをかなり覆って来ました。まだまだ伸びます。

コーナーも随分整備されてきました。薔薇が伸びればもっと密度が濃くなるでしょう。

ローズアベニューの完成まではもう少し時間がかかりますが、基本レイアウトと導線が決まったのでこれから楽しみです。
これから下草の整備やガーデンアクセサリーにも気を使うことになるでしょう。やがては密度の濃いローズガーデンが完成するはずです。